国難「超少子化」 抜本対策を

少子化対策も「失われた10年」

日本は現在、合計特殊出生率が1.5を下回っており、人口学的には「超少子化」と定義される深刻な状況に直面しています。10年間、この状態から脱却できていません。2023年2月9日の衆議院予算委員会で、政府の少子化対策の背景や問題点についてただし、改善策について提案しました。

少子化対策も「失われた10年」

戦後以来、出生数は減少傾向を続け、特に過去10年間は「失われた10年」と言えるほど効果的な対策が取られていませんでした。2015年に政府は「希望出生率1.8」という目標を掲げましたが、その達成には至らず、むしろ合計特殊出生率は低下の一途をたどっています。IMF(国際通貨基金)による試算では、少子化が進行する日本では今後40年間で実質GDPが25%減少する可能性があるとされており、これは経済的観点から見ても「国難」であると言える状況です。

取り組みが断片的で不十分

超少子化の要因は多岐にわたりますが、根本的には結婚や子育てに対する不安感や負担感が解消されていないことが挙げられます。結婚を希望しない理由として「結婚に縛られたくない」「仕事や家庭、育児、介護の負担を背負いたくない」といった声が多く、こうした理由が非婚化を助長し、結果的に出生率の低下を招いています。政府はこれまで、保育の受け皿整備や幼児教育・保育の無償化などに取り組んできたと説明していますが、実際には少子化傾向に大きな改善は見られません。この背景には、取り組みが断片的であり、抜本的な解決策が欠けていたことがあると考えます。

明石市の成功例を参考に

一方で、明石市の成功例は、少子化対策が経済成長につながる可能性を示しています。明石市では子ども予算を10年で倍増させ、出生率1.7を達成、さらに人口増加や市税収入の増加といった好循環を生み出しました。この事例から、子どもに対する投資が社会全体の活力を高める鍵であることが明らかです。

子ども予算の倍増を

少子化対策には、子ども予算の倍増が不可欠です。「お金がない」ではなく「お金をつくる」という視点が求められます。政府は「子ども政策の強化に関する関係府省会議」を通じて、児童手当の強化や幼児教育の拡充などを検討しているとしていますが、これをさらに加速させる必要があります。議論や検討に時間をかける余裕はありません。必要な施策を即時に実行し、次世代が希望を持てる社会をつくることこそが、政治の責任です。

超少子化を脱却するためには、結婚や子育てを望む人々の希望を叶える支援体制を構築し、明石市のように全ての人が幸せを実感できる社会を目指さなければなりません。少子化対策を通じて日本社会全体が活力を取り戻す、その第一歩を踏み出す時です。