保育士不足の解消 早急に対応を
児童数基準の未整備、過度な事務負担
保育士不足は全国的に深刻化していますが、全産業平均を下回っている給与、保育士1人あたり児童数基準の未整備、過度な事務負担の問題など、多くの課題が存在します。立憲民主党は国会で何度も改善を訴えてきましたが解決されておらず、2023年2月の衆議院予算委員会第五分科会で、改めて保育士不足の問題点をただしました。
現在、保育士1人あたりの児童数を定めた基準が十分ではなく、特に小規模保育所では対応が困難になる状況が見られます。政府は令和5年度予算案で、定員121人以上の保育所におけるチーム保育推進加算の充実を盛り込み、4・5歳児に対する「25対1」の配置基準に向けた改善を一歩進めました。しかし、小規模保育所への加算や1歳児の配置基準改善はなされておらず、対応が求められます。
また、保育士は長時間労働が常態化しています。例えば、会議や行事準備のために子どもたちが帰った後も業務が続き、サービス残業が発生するケースが多くあります。運動会などの行事が近づくと、保育士の業務負担が一層増大します。精神的・肉体的な疲労が蓄積し、離職率が高まる負の連鎖が起きています。
小規模保育所への支援強化を
小規模保育所ほど職員数に余裕がなく、加配保育士の確保が難しい現状があります。小規模保育所にもチーム保育推進加算を適用し、障害のある子どもを受け入れる際の人員確保が可能となる仕組みを整えるべきです。また、1歳児の配置基準改善についても早急な検討が求められます。
業務負担の軽減策も必要
保育士が保育業務に集中できる環境を作るため、ICT化の推進や補助スタッフの雇用拡充が必要です。清掃や消毒、園外活動の見守りなどの周辺業務を分担する仕組みをさらに充実させ、業務の効率化に向けて、長期的・短期的な指導計画の簡素化を進めることも重要と考えます。現行の指導案は4種類(年間計画、月案、週案、日案)を求められるケースが多いですが、保育指針では長期計画と短期計画の2種類が想定されています。これを現場に周知し、書類作成の負担を軽減するべきです。
保育士が安心して働き、子どもたちの成長を支えられる環境を整備するため、政策的な後押しが必要です。現場の声に基づいた具体的な対策を講じることで、少子化対策の基盤となる保育環境の質向上を実現するよう、政府には求めていきます。