政府少子化対策の問題点追求
防衛費財源、子育て予算に再配分を
日本が直面している超少子化は、日本社会の構造を変える深刻な問題です。子供からお年寄り、障がい者を含む多様な人々が支え合う社会の基盤を脅かしています。政府は「こども・子育て政策の強化について(試案)」を2023年3月に発表し、抜本的な少子化対策として打ち出しました。しかし、この試案が地方自治体選挙の告示日に発表されたことに対し、選挙目当てではないかという疑念も一部で生じています。さらに、試案に盛り込まれた34項目には、具体的な実施時期や財源が明確に示されていない項目も多く、国民に誤解を与える可能性があったので、2023年4月の「地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会」の質問で取り上げました。
子育て支援、不十分
少子化対策をめぐるこれまでの政府の取り組みは、効果的とは言い難いものが多く、特に過去10年間の政策は大きな成果を挙げられなかったとの認識です。例えば、民主党政権時代に導入された子ども手当は所得制限の撤廃や手厚い支援を目指していましたが、自民党政権下で所得制限が再導入され、さらには児童手当の特例給付が廃止されるなど、子育て家庭への経済的負担が増加する結果となりました。
一方で、政府は待機児童の解消や幼児教育・保育の無償化といった政策を進めたとしていますが、十分ではありません。また、財源確保の議論も遅れており、報道によれば社会保険料の引き上げが検討されているとのことです。これは現役世代や子育て世代の可処分所得を減らし、さらなる少子化を招きかねない政策であり、慎重な検討が求められます。
保育士の配置基準達成へ財源確保を
政府は、今後3年間で「量の拡大から質の向上へ」と政策の重点を移すとしていますが、保育士の配置基準の見直しや処遇改善は喫緊の課題です。特に、2015年に政府が掲げた一歳児の配置基準を6人に1人から5人に1人に、4・5歳児を30人に1人から25人に1人に改善する目標は、8年が経過した現在でも達成されていません。この目標を年度途中でも実現するための具体的な財源確保を求めます。
児童手当の拡充を
児童手当の対象拡大と金額の見直しを早急に進める必要があります。試案では具体的な内容が骨太の方針2023で示されるとされていますが、遅滞なく実施に移せるよう、財源と時期を明示すべきです。
防衛費財源の再配分を
社会保険料の増額ではなく、防衛費の増額に充てられた財源を少子化対策に振り向けることを検討すべきです。国民にとって最優先されるべきは、未来を担う子供たちへの投資であり、この遅れた10年を取り戻すためには財源の大胆な再配分が求められます。
政策の長期的な継続性の確保が必要
少子化対策は短期的なアピールではなく、持続可能で一貫性のある政策が求められます。こども未来戦略会議における議論の透明性を確保し、広く国民の理解と支持を得る努力が必要です。
これらの提案を通じて、子育て家庭が安心して生活できる社会の実現を目指し、国民の期待に応える少子化対策を政府に強く求めます。