抜本的な再エネシフトを
次世代技術採用に本腰を
近年、再生可能エネルギー(再エネ)は技術革新とコスト削減により飛躍的な進歩を遂げています。太陽光、風力、地熱、地中熱などの技術は低コスト化が進み、蓄電池や水素技術を活用したエネルギー貯蔵、電気自動車(EV)による自家消費などの新しい活用方法も実用化が進んでいます。再エネが経済的に競争力を持つ時代が到来し、特にペロブスカイト型太陽電池のような次世代技術は日本国内での供給網構築も可能とされ、エネルギー安全保障と脱炭素社会の両立に寄与すると期待されています。
一方、政府は原子力発電の新設や増設、運転期間延長を進める法案を提出しています。この方針は、過去の福島第一原発事故の教訓や安全性への懸念を再燃させるものであり、国民的な議論や十分な説明が不足しています。2023年の年4月19日衆議院「経済産業委員会環境委員会原子力問題調査特別委員会連合審査会」で取り上げました。
事故や不祥事が続く原発
再エネ100%は現実的に達成可能であり、今や経済的にも最もコスト効果が高いエネルギー政策とも言われています。一方政府が推進する革新軽水炉は2030年代後半以降の実用化が見込まれていますが、具体的なスケジュールは不明瞭で、技術開発もまだ途上です。福島第一原発事故の教訓を活かした安全対策が進められているものの、実際に事故が起きた場合の影響や対策には不透明さが残ります。
さらに、原発関連では過去5年間で事故や不祥事が相次いでおり、信頼性や透明性に対する疑念が強まっています。例えば、日本原子力発電敦賀2号機では審査資料の無断書き換えが多数確認され、規制に対する信頼を揺るがしています。原発のリスクを考えると、再エネ技術への転換がより安全かつ持続可能な選択肢といえます。
ペロブスカイト型太陽電池の推進
ペロブスカイト型太陽電池は軽量で柔軟性が高く、曇りの日や室内環境でも発電可能で、設置場所の制約を大幅に緩和できます。原料として使用されるヨウ素は、日本国内でも安定供給が可能なので、エネルギー安全保障の向上が期待されます。政府はペロブスカイト型太陽電池の早期実用化を目指しており、すでに研究開発や商業化への支援が進められていますが、開発支援や市場導入の加速に向け、さらなる政策支援やインセンティブの導入が求められています。
原子力技術の安全性確保と透明性向上
革新軽水炉を含む次世代原子力技術は、2030年代後半以降の実用化を目指して開発中ですが、過去の福島第一原発事故を教訓に、安全性の確保が最重要課題となっています。特に、地震や津波などの自然災害への対策が欠かせません。原子力分野では敦賀2号機での審査資料無断書き換え問題など、規制当局と事業者の信頼性に課題があります。規制プロセスの透明性や情報公開の強化が不可欠です。市民社会による監視と意見反映の仕組みを整備する必要もあります。
発電コストとリスクの明確化
ペロブスカイト型太陽電池は、2030年までに発電コストを14円/kWh以下に抑えられると予測されています。これは従来のエネルギー源と比較しても十分に競争力があります。原子力発電にはシビアアクシデントのリスクや高額な安全対策コストが伴います。高レベル放射性廃棄物の長期的な管理問題も解決されていません。発電コストだけでなく、事故リスクや環境負荷を含めた総合的な評価を行い、政策決定の際に国民的な議論を進めるための整備も求められます。
再エネ100%の実現は、単なる理想ではなく、技術的・経済的に現実的な目標です。政策決定にあたっては、国民の命と環境を最優先に考え、安全かつ持続可能な未来を目指していきます。