九州北部豪雨被害 早期復旧支援を

2023年夏の梅雨前線豪雨は、福岡県を中心とした九州北部地域に甚大な被害をもたらしました。特に、筑紫地区を含む朝倉市、東峰村、太宰府市などで公共土木施設や農地が被災し、迅速な復旧支援が求められています。また、被災した商工業者への支援も急務であり、地域の経済活動再建に向けた施策が求められる状況です。2023年8月8日の衆議院災害対策特別委員会で政府に支援拡充を要望しました。

早期に激甚災害指定を

被災地では、激甚災害指定により国の補助率が引き上げられることで、復旧作業の迅速化が期待されています。しかし、今回の豪雨発生から1か月近く経過しているにもかかわらず、正式な指定はまだ行われていません。過去の九州北部豪雨や西日本豪雨では迅速な対応が実施されており、その経験を活かした早期指定が必要です。

また、筑後川水系では内水氾濫が7年連続で発生しており、気候変動に伴う線状降水帯の停滞が深刻な問題となっています。一級河川である筑後川の整備率向上や河川整備基本方針の見直しが求められています。

筑後川水系の河川整備が急務

現状では、筑後川水系の河川整備率は令和4年度末時点で77%とされていますが、全国平均と比較しても目標達成に向けた課題が残っています。また、筑後川水系の河川整備基本方針は2003年の策定以降更新されておらず、気候変動による降雨量の増大に対応できる内容への改定が急務です。

さらに、土砂災害警戒区域の指定も不十分であり、今回の豪雨では区域外での被災も確認されています。区域指定の基礎調査と見直しの遅れが、住民の安全確保に影響を及ぼしている状況です。

災害復旧工事の加速を

迅速な激甚災害指定を行うことで、被災地の市町村長から求められている支援策を早期に実現する必要があります。災害復旧工事の加速が、地域の復興に向けた第一歩となります。

また、筑後川水系においては河川整備基本方針を早期に見直し、気候変動の影響を考慮した浸水対策を強化することが重要です。さらに、全国の一級河川の整備率を目標通り令和7年度までに73%に引き上げるため、進捗状況の管理と改善が求められます。

土砂災害警戒区域の見直しについては、基礎調査の迅速化と区域指定の更新を行うことで、住民の避難行動を支援し、防災意識を高める必要があります。

被災事業者への支援も必要

災害で被害を受けた中小企業への支援策として、なりわい再建支援事業の拡充が求められています。例えば、東峰村では小石原焼の窯元が被災し、伝統産業の存続が危機に瀕しています。被災地での事業再建を支援するため、自治体連携型補助金の活用を進め、事業者が利用しやすい形での制度設計と周知が必要です。

災害時医療体制の見直しを

久留米市田主丸中央病院の被災は、災害時医療体制の課題を浮き彫りにしました。厚生労働省が進める災害拠点病院の浸水対策強化を早急に実施するとともに、地域全体での医療体制の維持が不可欠です。災害拠点病院の指定基準見直しや、業務継続計画の策定状況を点検し、被災時の対応力を高めることが求められます。

地域住民が安心して暮らせる防災体制の構築に向け、迅速かつ的確な政策対応を求めます。