物価高騰から学校を守る対策を
教育の機会均等にも影響
こども家庭庁が2023年4月に発足し、すべての子どもが成育環境にかかわらず健やかな成長を遂げられる社会を目指すことが掲げられました。そのような中で、物価高騰による学校給食費や学用品費といった教育活動の基本を支える経費への負担増が深刻化しています。影響を直接受ける家庭へのさらなる支援を求めるため、2023年11月14日の「地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会」で質問しました。
学校現場では給食の食材価格が軒並み高騰し、卵や牛乳、魚、油、さらには配送用ガソリンなどの費用増が報告されています。栄養教職員や事務職員は工夫を凝らして運営を続けていますが、予算不足の慢性化が課題となっています。
政府は、学校給食費の負担軽減を目的に「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を導入し、多くの自治体がこれを活用しており、現在約99%の自治体が給食費負担軽減に取り組んでいるとしています。しかしこれらの支援策には、マイナポイントやプレミアム商品券といった他の事業が含まれており、すべてが給食支援に充てられるわけではありません。
経済的に困難な家庭を支援するため市町村は、学校教育法第19条に基づく就学援助を行っています。しかし近年の物価高騰により援助費が追いつかない実情が浮き彫りになっています。政府は、2023年度の予算において、中学校新入生の学用品費を前年比3,000円増額の63,000円とする対応を行い、2024年度予算要求ではさらなる増額を目指しています。具体的には、小学校の学用品費を760円増、中学校を1,480円増とする方針です。
これらの基準は物価の全国平均に基づいて算出されており、地域ごとの差を十分に反映していない可能性があります。たとえば、卒業アルバムの費用が援助基準額を数千円上回る地域も存在します。このような状況では、経済的支援が不十分な場合があるため、さらなる拡充が求められます。
教育の機会均等を確保するため、物価高騰の影響を直接受ける家庭へのさらなる支援が不可欠です。特に、学校給食や学用品といった基本的な教育環境を守るため、地方交付金の用途をより明確にし、給食や学用品支援に優先的に充てる仕組みの整備を求めます。また、就学援助制度については、地域ごとの物価差を考慮し、基準額の柔軟な見直しが必要です。