ニューロダイバーシティーの推進を

多様性は社会の力に

ニューロダイバーシティーは、1990年代にオーストラリアの社会学者ジュディ・シンガーが提唱した概念です。人間の脳や精神の働き方には個人差があり、その違いを個性として受け入れるべきと主張しています。発達障害の方を含む脳や神経に由来する多様な特性を、単なる病気ではなく、より肯定的に捉え相互に尊重する社会を目指す考え方です。

日本でも、イノベーションや生産性向上を目指したダイバーシティー経営が注目されており、企業の競争力強化や就労人口維持の観点から、ニューロダイバーシティーの推進が必要とされています。国内外の企業において、特性を生かす職場環境の整備が進められつつあります。2023年11月14日の衆議院「地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会」でニューロダイバーシティーについて取り上げました。

多様性は社会の力に

現代の社会や経済において、多様性の確保はイノベーションを促し、企業や経済全体の成長にも貢献すると考えられています。ニューロダイバーシティーの推進は、脳や神経に由来する個性を発揮できる環境を整える観点から極めて重要です。経済産業省は、障害のある方々の採用や活躍に関する事例を調査し、企業が取るべき方策を整理した上で、それらを普及啓発する取り組みを行っています。方向性は評価できますが、現状では職場環境や社会全体の意識改革が十分に進んでいるとは言えず、さらなる取り組みが必要です。

教育の分野でも実践が必要

教育の分野でも、ニューロダイバーシティーの概念を反映したインクルーシブ教育の推進が課題です。オーストラリアではこの観点から教育機関での実践が進んでいます。企業での多様性推進を実現するためには、子どもの頃から多様な個性と共に学び、支え合う経験が不可欠です。成人後に初めて多様性を理解し、実践するのでは遅すぎます。

インクルーシブ教育の実現を

国内外の先進事例を積極的に取り入れるべきです。実際に全盲や書字障害の子どもたち、医療的ケアが必要な子どもたちが通常学級で学び、友達と共に過ごしている姿を見ると、インクルーシブ教育の可能性と重要性を実感します。こうした事例を共有し、関係者の理解を深める取り組みを推進するよう提案します。

経済産業省には、企業の取り組みを支援する政策をさらに具体化し、教育現場との連携を図り、多様性を尊重する社会の実現を目指して取り組みを進めていくよう求めました。