教員の長時間労働解消を
ICT活用、業務負担の見直しを提言
教員の長時間労働は深刻な問題となっており、日本は先進国の中でも特に高い水準です。小学校では約3割、中学校では約6割の教員が過労死ラインとされる月80時間以上の時間外労働をしています。文部科学省が行った2016年度の調査や2021年度の調査でも明らかになっており、長時間労働の改善が進む中でも多くの教員が厳しい勤務実態に直面しています。
教員の長時間労働は、教育の質に悪影響を与え、教員自身の心身の健康にも大きな負担をもたらし、さらに教員を志望する若者も減少するという悪循環を生んでいます。教員不足になった職場で労働負担が増えるという「負のスパイラル」に陥っているのが現状です。この問題について、2022年3月11日の衆議院内閣委員会で取り上げました。
授業デジタル化で負担増えることも
教員の長時間労働は、子どもたちの生活や学びに大きな影響を与えています。教師は授業だけでなく、研修や書類作成、保護者対応、さらには学校行事の準備など多岐にわたる業務をこなさなければならず、仕事量が過大になっています。例えば、ICT機器の導入に伴う授業準備や運営の負担が増えたことも教員の負担増加の一因です。また、特別支援が必要な子どもの数が増加する中、教員一人あたりの負担はますます重くなっています。
20人学級の実現を
教員の労働負担を軽減し、質の高い教育を提供するためには、学級規模を縮小することが不可欠です。現在、日本の初等教育における1クラスあたりの児童数はOECD加盟国の中でも特に多く、約30人とされています。これに対し、欧米諸国では20人前後の学級規模が一般的で、EU加盟国ではその水準が維持されています。
ICT活用のための支援強化
教員がオンライン授業やICT機器を効果的に活用できるよう、研修やサポート体制を充実させることが求められます。現在、多くの教員がICT機器の操作やオンライン授業の運営に不慣れであり、準備や指導に時間を費やしています。政府は、ICT活用に関する研修を拡充し、現場でのサポートを強化することで、教員の負担を軽減しつつ、質の高いデジタル教育を提供する環境を整備すべきです。
教員の業務負担の見直しを
教員が教育以外の業務に追われないよう、業務の合理化と削減が必要です。保護者対応や行事準備、書類作成など、教育以外の業務に多くの時間を割かれている現状を改善するために、教員補助スタッフの配置や、業務分担の見直しを進めるべきです。また、小学校高学年において教科担任制を導入し、教員が専門的な知識を持って指導にあたれるような体制を整えることも検討すべきです。
政府は、公立小学校の学級編制の標準を35人に引き下げる措置を40年ぶりに実施したとし、今後も教職員定数の改善に取り組む姿勢を示しました。また、ICT活用に関しても、学校の教育の質を向上させるために必要な研修や支援を強化し、教員の負担軽減を図る考えも表明しました。