キャッシュレス法案 問題点を指摘

個人情報の流出対策を厳格に

子育て・教育

デジタル技術の進展に伴い、個人情報の保護やデジタル監視社会への懸念も高まっています。クレジットカードや電子決済の普及により、個人情報が流出し不正に使用されるリスクが高まっています。滋賀県が提供するプレミアム付デジタル商品券「ここクーポン」では、クレジットカード情報が流出する事案が発生しました。6万件以上のクレジットカード情報(番号、有効期限、セキュリティコード)が流出し、実際に不正利用も確認されています。キャッシュレス決済は便利で効率的な納税手段として注目されていますが、情報流出の危険性を考慮すると、個人情報保護と不正利用防止の対策が重要です。2022年3月16日の衆議院内閣委員会で取り上げました。

2022年に施行されたキャッシュレス法は、国税や国民年金保険料などの納付にクレジットカードやキャッシュレス手段を利用可能とするものです。便利さと同時に、個人情報の保護をどのように担保するかが、社会的な課題として浮上しています。

キャッシュレス納税 情報流出の対策が急務

政府が進めるキャッシュレス納税は、利便性が高い一方で、リスクに対応できなければ、国民の信頼を損ねることになります。個人情報の流出を防ぐための万全の対策が取られていない限り、国民は不安を抱えながら制度を利用することになります。また、情報流出後の対応や被害者への補償も明確にされていない点が問題です。

セキュリティ対策を徹底のガイドラインを

キャッシュレス決済を利用する指定納付受託者に対して、セキュリティ対策を徹底するためのガイドラインを設け、個人情報保護法に基づく遵守事項を強化する必要があります。特に、クレジットカード情報のようなセンシティブデータを扱う場合、データの暗号化や多層的なセキュリティ対策を義務化し、データベースへの不正アクセスを防止するための定期的な監査を行うべきです。

万が一の被害に備えた補償制度の明確化を

情報流出が起きた場合、被害者への迅速かつ適切な補償が不可欠です。現時点では、クレジットカード会社が被害者に対する補償を行うとされていますが、クレジット会社が倒産した場合や補償が不十分な場合の対応が不透明です。このような事態に備え、国として包括的な補償制度を整備することが必要です。具体的には、クレジット会社が倒産しても顧客が被害を受けないように、分別管理の導入や補償基金の設立を検討すべきと考えます。

分別管理の義務化と監視体制の強化

証券会社が行っている顧客資産の分別管理の仕組みを参考に、キャッシュレス決済事業者にも同様の分別管理を義務付けるべきです。これにより、指定納付受託者が倒産した場合でも、国民の資産が安全に守られる仕組みを構築できます。さらに、政府が指定納付受託者を定期的に監視し、セキュリティや財務状況の健全性を確認する体制を整えることが重要です。

補償制度全体の具体化乏しく

政府は、滋賀県のクレジットカード情報流出事案を受け、対策の必要性を強調しました。また、クレジット会社が倒産した場合の対応については具体的な答えはありませんでした。キャッシュレス納付において納付者の保護を図るため、指定納付受託者に対する保険加入や第三者保証の導入を検討しているとの答弁もありましたが、補償制度全体の具体性や明確化には至っていません。