国家公安委員長の中立性保障を

民間からの登用を提案

子育て・教育

国境を越えたサイバー犯罪が急増しているため、警察によるサイバー犯罪への捜査の強化が進められています。一方で、サイバー空間での捜査は国民から見えず、理論上、警察は国民の個人情報に自由にアクセスし監視することが可能でもあります。このため、いかに国家による監視社会のリスクを回避し、個人情報の保護を担保するかが大きな課題となっています。警察組織を管理する国家公安委員会には政治的中立性が求められるため、2022年3月16日の衆議院内閣委員会で政府をただしました。

国家公安委員会は、戦後の反省から警察の政治的中立性を確保し、警察の活動に対する民主的な統制を図るため、昭和22年に設置されました。現在、委員長は国務大臣が務める大臣委員会形式を取っていますが、他の行政委員会(例: 人事院、公正取引委員会)は民間出身者が委員長を務めています。

内閣の影響力を受ける国家公安委員会

国家公安委員会は警察庁を監督し、警察行政の民主的管理と政治的中立性を確保する役割を担っていますが、委員長が国務大臣であることから、警察の政治的中立性が十分に保たれているかには懸念が残ります。より独立性の高い監督機関が必要と考えます。

都道府県レベルの公安委員会は全ての委員が民間から選任されていますが、国家公安委員会だけが大臣委員会という形態になっており、行政組織の透明性や独立性の観点から適切ではないと認識しています。委員長が政治家であることで、内閣の影響力が強くなるリスクがあります。

国家公安委員長も民間から選任するべき

国家公安委員会の委員長を含めた全ての委員を民間から選任し、国民のプライバシーや人権を守るための警察活動の公正性や透明性を担保すべきです。国家公安委員会の独立性を強化し、警察行政の監視機能を向上させることが求められます。

特に、国務大臣を委員長としないことで、内閣や政権の影響を排除し、警察の活動が中立であることを国民に保障する仕組みを構築すべきです。

政府「現行制度の維持が適切」との立場

政府の説明では、「現行の国家公安委員会制度は警察法に基づいており、国民の良識を代表する者で構成される国家公安委員会が警察庁を管理することで、警察の民主的管理を保障し、政治的中立性を確保している」としています。また、委員長に国務大臣を充てることで、治安に対する内閣の責任を明確にし、国家公安委員会と内閣の意思疎通を図る体制を維持している、との考えです。

さらに、国家公安委員会の委員長には表決権を与えず、警察の政治的中立性を保つための工夫が施されており、現行の国家公安委員会制度の維持が適当であるとする立場を示しています。

国家による監視社会のリスクを回避し、個人情報の保護を担保するため、今後も訴えを続けていきます。