「特定重要技術」定義を明確に

経済安全保障法の問題点指摘

子育て・教育

経済安全保障は、国家の安全を脅かす技術流出や経済的依存を防ぎ、国際的な技術競争において優位性を確保するために必要とされる概念です。アメリカ、中国、欧州など各国は革新的な技術の開発に巨額の資金を投じ、国家戦略として取り組んでいます。日本も技術開発競争に遅れを取らないよう、政府と民間の連携した対応が求められています。2022年に成立した経済安全保障法は、「特定重要技術」の研究開発を支援し、日本の技術的優位性を確保することが主な目的となっています。

特定重要技術について、政府は「中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術と言い得るもの」としています。しかし具体的な基準はなく範囲が不明確であるため、2022年3月25日の衆議院内閣委員会で政府の見解をただしました。

対象の範囲曖昧、過度の規制懸念

特定重要技術は、条文では「国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるもの」と定義されていますが、範囲が広く曖昧です。協議会の運営や基本指針に委ねられている事項が多く、具体性に欠ける点が懸念されます。さらに、産業界や学術界に対する強制力のある規制が加わることへの懸念もあります。

学術研究や産業界への影響を最小限に

特定重要技術の対象となる技術を明確に選定する仕組みを作るべきです。研究者や企業が予測可能な形で、任意に参加できる協議会を設立し、途中での離脱や異議申し立てが可能であることを法案に明文化するべきです。学術研究や産業界への影響を最小限に抑えるために、知の共有や国際的な技術開発における柔軟性を維持することも重要です。国際的な技術競争力を高めるため、政府と民間のパートナーシップを強化し、研究成果の公開や標準化の推進にも配慮することも必要と考えます。

政府「官民一体で支援を行うための枠組み」

政府は、特定重要技術について、「官民一体で支援を行うための枠組み」と説明しています。協議会の運営や秘密保持に関しては、研究者の同意が前提であり、強制的に参加させることはなく離脱も可能であり、離脱した場合も不利益を与えることはない、としています。

今後も、産業界や学術界に対する強制的な規制などが行われないよう、この問題について注目していきます。