AV出演強要から若者保護を

18歳成人で法的リスク増

18歳から成人とされる2022年の法改正により、18歳・19歳の若者が法的に大人として扱われる一方で、消費者保護の面でのリスクが高まっています。特に、アダルトビデオ(AV)出演契約においては、未成年者取消権が適用されなくなったことから、若者が出演を強要される危険性が増大しました。未成年者取消権とは、未成年者が親の同意なしに結んだ契約を無条件で取り消せる法的権利ですが、成人年齢が18歳に引き下げられたことにより、この権利が18歳・19歳の若者には適用されなくなりました。この問題について、2022年4月22日の衆議院内閣委員会で取り上げました。

18・19歳の「未成年者取消権」なくなる

成人年齢引き下げの法改正で、AV出演契約などの消費者被害に対する法的保護が不十分となり、若年層が強要や詐欺的な手口でAVに出演させられるリスクが懸念されています。

従来、未成年者であれば親の同意なく契約を結んでも取消権が認められていましたが、この保護がなくなりました。AV出演契約は、特に若年層にとっては心理的・身体的なダメージが大きく、出演後に後悔するケースが多いにもかかわらず、取り返しのつかない状況に追い込まれる若者が増える危険性があります。

政府「現行法で対応可能」も現実には困難

政府は、現行法の消費者契約法や詐欺・強迫による取り消しなどで、被害者が出演契約を取り消すことは可能としています。しかし実際には被害者が自ら詐欺や強迫を主張して契約を取り消すのは非常に難しいとされています。AV出演契約の多くはスカウトやプロダクションを通じて行われ、契約相手はAVメーカーであるため、消費者契約法を活用して取消しを求めることは困難です。

さらに、被害に遭った若者が相談窓口にたどり着く前に、既に被害が深刻化しているケースも多く、現行の広報・啓発活動が十分に機能していない点も問題です。専門家や支援団体も、こうした法的手段が有効に機能していない現状を指摘しています。

AV出演契約から保護する法的枠組みを

まず、18歳・19歳の若者を含む全ての若年層が、危険な契約から十分に保護されるための法的枠組みを整える必要があると考えます。AV出演契約に対しては未成年取消権に代わる「若年取消権」を創設し、18歳・19歳の若者が不本意な契約を結ばされても容易に取消せる仕組みを導入することが不可欠です。また、AV出演契約の内容や手続きを厳格に規制し、未成年者や若者を標的にするスカウト行為の禁止や、出演契約に関する厳しい罰則を設けることも提案します。

さらに、AV出演強要や被害に関する情報提供や啓発活動を強化するため、若者向けの広報活動を全国的に展開すべきです。特に、覚えやすい三桁の相談窓口番号の導入や、SNSを通じた情報発信を強化し、被害者が迅速に適切な支援を受けられる環境を整えることが急務です。また、全国にあるワンストップ支援センターをさらに拡充し、AV出演被害や性暴力に対する専門的な支援を提供できる体制を整えるべきです。被害者支援に精通した専門家を配置し、地方でも質の高い支援が提供されるようなシステム作りが求められます。

立憲民主党の主張により、任意契約解除権が拡大

この問題について政府は当初、「現行法で対応できる」と主張していました。消費者契約法や詐欺・強迫による取消しが可能であると説明し、法的な追加対策の必要性には消極的でした。しかし、国会での議論を通じて立憲民主党の意見を取り入れ、AV出演被害防止・救済法において、出演者が任意で出演契約を解除できる権利(任意解除権)の行使期間拡大するなど、被害者救済を強化する内容が盛り込まれました。