子どもの権利擁護への体制強化を
子供コミッショナー制度の導入提案
日本では子どもの権利擁護に関する制度が不十分であるとの指摘があります。いじめや虐待といった問題への対応が地域ごとに異なることが多く、救済の手続きや保護体制が統一されていません。国際的には「子どもコミッショナー」と呼ばれる独立した子どもの権利擁護機関が70か国以上で導入されています。日本国内でも43の市区町村にコミッショナーに相当する制度が導入されていますが、国全体で統一的な仕組みがないことが課題となっています。
こども家庭庁設置法に基づいた「こども家庭審議会」が設置されていますが、あくまで諮問機関であり独立性が保障されているわけではありません。立憲民主党が提案している「子どもの権利擁護委員会」は、合議制の機関であり、国レベルでの子供の権利擁護を目指した仕組みです。児童の権利条約に基づき、子供の権利侵害に対する調査や救済を行うこのような組織を作るよう、2022年4月28日の衆議院内閣委員会で政府に提案しました。
子どもの権利保護は、地域によってばらつき
日本では、子どもの人権が侵害された際の救済措置が十分でないケースが見られます。いじめや虐待においても、地域の教育委員会や自治体が問題を適切に処理できない場合、被害者の子どもが孤立し、適切な保護が受けられないことが多々あります。現行の政府の対応は、諮問機関の設置や地域レベルの対応に依存しているため、全国的な基準に基づく保護体制が欠けていると言わざるを得ません。
現場で実際に活動しているコミッショナーのような存在は、地域での問題解決や子どもたちの声を直接反映する上で重要な役割を果たしています。しかし地方自治体が自主的に取り組むだけでは、国全体としての統一的な権利擁護が十分に達成されていません。
全国レベルの子どもの権利擁護機関の設置を
国レベルで「子どもの権利擁護委員会」を設置し、独立した立場から子どもの権利侵害に対応する体制を確立するべきです。子どもや若者の声を直接受け、問題解決に向けた調査・勧告を行う権限を持つ機関として機能させます。地方レベルでは既に設置されている救済機関や相談窓口を活用し、地域ごとの子供の権利保護体制を強化することが重要です。これには、地方自治体と国が連携し、国全体での共通の基準に基づく支援や介入が求められます。
調査権限や勧告権を持たせる体制づくりを
また、具体的な調査権限や勧告権を持たせることで、現場での対応が不十分な場合でも、迅速に対応できる体制を整備することが必要です。特に、いじめや虐待の問題では、教育委員会や自治体が適切に対応できなかった場合に、国の権限で介入できる仕組みが不可欠です。子どもの最善の利益を守るため、子どもたちの声を重視し、積極的に保護する体制を整備することが急務です。
政府、独立機関には後ろ向き
政府は、こども家庭審議会が専門的な立場から内閣総理大臣やこども家庭庁長官に対して意見を述べる機関として子どもの権利保護を強化する、としています。しかし、審議会はあくまで諮問機関であり、子どもコミッショナーのような独立性は持たず、政府の意向に沿った対応を行う形になっています。今後も「子どもの権利擁護委員会」などの制度整備の実現を訴えていきます。