オーガニック給食の推進を

地元農家の支援、地域経済の活性化に寄与

地産地消とオーガニック給食の推進は、日本の食料安全保障や地域経済の活性化に大きな役割を果たすと期待されています。国際情勢が不安定な中で、食料自給率の低さが改めて懸念されています。日本の2020年の食料自給率はカロリーベースで37%と過去最低であり、主要先進国では2番目に低いという深刻な状況です。

地産地消は地域で生産された農産物を地域で消費することで、地元農家の支援、環境負荷の軽減、地域経済の活性化に寄与します。また、オーガニック給食の導入は、化学農薬や化学肥料の使用を減らし、持続可能な農業を促進するだけでなく、子供たちや高齢者、病院の患者などの健康を守ることにもつながります。農林水産省は「みどりの食料システム戦略」で2050年までに化学農薬を50%削減し、有機農業の取組面積を25%に引き上げるという目標を掲げています。学校給食や公共施設の食事を通じたオーガニック食材の需要拡大推進を、2022年4月28日の衆議院「地方創生に関する特別委員会」で提案しました。

100%有機無農薬給食を実現した学校も

現在、日本においてオーガニック給食を実施している学校や施設はまだ少数ですが、福岡県にある私立学校「リンデンホールスクール」が100%有機無農薬給食を実現しており、その成果が注目されています。この学校では、地元の農家が提供する有機野菜を使用し、食材の旬に合わせた献立を作ることで、栄養価が高く、安価な給食を提供しています。このような実例は、オーガニック給食が高価で手が届かないという一般的なイメージを覆すものです。

しかし、全国的な導入に向けた課題として、費用面や供給の安定性が依然として障害となっています。また、日本の農業は気候的に病害虫や雑草の管理が難しく、有機栽培への転換が他国に比べて難しいとされています。それでも、オーガニック農業に取り組む農家や事業者が増えており、農福連携などを通じて障害者や地域住民の活躍の場を提供することで、農業の持続可能性と地域福祉の向上に貢献しています。

地産地消で地域農業との連携強化を

オーガニック給食の全国展開を実現するためには、地産地消を基盤とし、地域農業との連携を強化することが重要です。まず、地元農家や農業団体と協力して安定した供給体制を確立し、旬の食材を積極的に取り入れることで、給食費用のコスト削減を図ることもできます。また、農林水産省や地方自治体は、有機農業の技術支援や販路開拓に対する助成を強化し、農家が有機栽培へ移行しやすい環境を整えるべきです。

福岡県には、障害者が有機農業に従事することで収入向上と社会的自立が進み、農業生産にも貢献する農福連携に取り組んでいる事業者がいます。障害者の就労機会を創出し、有機農業の労働力を確保する仕組みを実現しています。こうした優良事例を他地域に横展開するため、支援やネットワーク構築が必要と考えます。

政府は、農林水産省を中心に、地産地消やオーガニック農業を推進し、食料自給率の向上や地域活性化を目指すとしています。地産地消コーディネーターの派遣や、学校給食や福祉施設でのオーガニック食材の導入支援を行っています。また、「オーガニック農産物の利用拡大は地域経済や環境保護に貢献する重要な取り組みである」との立場を示し、地方自治体と連携して有機農業の普及を進める意向を表明しました。今後も地産地消、食料自給率向上の政策を訴えていきます。