子宮頸がん 自己検査で検診率向上を

日本の受診率、先進国最低水準の約40%

子宮頸がんは早期発見・治療によって症状が大きく変わる病気であり、定期的な検診が不可欠です。2007年に制定されたがん対策基本法では、がん検診の受診率目標として50%が掲げられましたが、2019年時点で子宮頸がん検診の受診率は43.7%にとどまっており、いまだ目標を下回っている状況が続いています。オーストリアやスウェーデンでは80%近い受診率を達成していて、日本の受診率は先進国の中でも最低水準にあります。

現在、自宅で1人で手軽にできる「自己採取によるHPV(ヒトパピローマウイルス)検査」が注目されています。子宮頸がん検診率向上に向けた対策を、2025年4月2日の厚生労働委員会で要望しました。

手軽、検査の感度も高いとの報告

北海道大学の研究者による論考では、自己採取HPV検査は医療機関に出向く必要がなく、感度も高いため医師による採取と遜色ないと指摘されている。心理的ハードルの低さや、医療機関が近くにない地域でも対応可能であることから、受診率の向上につながると考えます。

子宮頸がんの検診率が長年にわたり低迷している背景には、受診の煩雑さや羞恥心といった心理的な障壁があると推測できます。自己採取法の導入・普及を進めることは有効な手立てです。

政府「現時点では医師の採取が原則」

政府は、2024年4月からHPV検査単独法を子宮頸がん検診に導入した一方で、自己採取法については、精密検査の受診率確保に課題が残るとの理由から、「現時点では医師の採取が原則」との立場を示しました。また、自己採取法の普及には受診率だけでなく、その後の精密検査につながる仕組みの検討が必要とし、導入には慎重な姿勢を示しました。

自己検査の存在自体が知られていない

しかし、自己採取法の存在そのものを知らない女性が依然として多い現状を考えると、まずはこの方法があるということ自体の周知が不可欠と考えます。

自己採取による一次検査を入り口とし、陽性者に対しては丁寧な個別通知やフォローアップ体制を整えることで、精密検査の受診率も担保できるはずです。市町村による個別勧奨や企業との連携も含め、受診を促す多様な取り組みと並行して、自己採取法を検診の選択肢として早急に制度化すべきです。

がん対策基本法が目指す「受診率50%」という目標は、掲げられてからすでに20年近くが経過しています。科学的根拠と市民のニーズに基づいた、実効性のある政策転換が求められています。