2013年 3月19日:性暴力・DV被害者支援の充実について

福岡県議会2月予算特別委員会

性暴力・DV被害者支援の充実について、次のとおり、予算特別委員会で質問し、真の意味でワンストップの支援センターの設置を強く求めました。

(長文ですが読んでいただけると幸いです。正式な議事録は、1,2ヶ月後の県議会サイトhttp://www.gikai.pref.fukuoka.lg.jp/kaigiroku.htmlにアップされます。)

おはようございます。民主党・県政クラブ県議団の堤かなめです。性暴力そして配偶者からの暴力、いわゆるDV、この両者の被害者支援の充実について質問します。委員長、早速ですが、「配偶者からの暴力」および「性犯罪被害者支援センター」に関する資料を執行部にお願いしております。と同時に、私が準備いたしました相談窓口に関する資料もございますので、併せてお取り計らい願います。

まずDVについて、資料をご覧ください。平成24年に内閣府が実施した調査によれば、全体の3.1%、女性では4.4%と20人に一人が、命の危険を感じるような暴力を受けています。DVは児童虐待とも関連する大きな社会問題です。しかしながら、過去5年以内に配偶者暴力を受けた人のうち、配偶者暴力相談支援センターに相談した人はわずか1.6%。男女共同参画センターに相談した人は0.8%と、被害を受けた人のまさに「氷山の一角」でしないわけですが、このことについてどのようにお考えでしょうか? 

DVについて相談できる窓口があることについて、被害者や県民にまだまだ知られていないのが現状であると考えています。DVによる重大な被害を防止するには、1人でも多くの被害者に相談窓口をつなぐことが重要であることから、平成23年度に策定された福岡県の総合計画で、DVの相談窓口の周知度について、60%を目指すこととしております。

このため、内閣府の「女性に対する暴力をなくす運動」期間(毎年11月12日~25日)に合わせた県内4箇所での街頭啓発活動や、啓発ポスターの作成、県の広報誌の活用などにより、相談窓口の周知に努めています。特に、相談窓口を記載したステッカーやカードを作成し、女性の目にとまりやすい、コンビニエンスストアやスーパーなどの女性用トイレに貼付・設置しています。

最近、若年者においても、交際相手からの暴力がおきている現状に鑑み、今年度からは高校の養護教諭や生徒指導担当教諭などに対し、相談窓口も含め、DVへの理解や早期発見の重要性について幅広く啓発を行い、被害防止に努めているところです。

ポスター、ステッカー、カードを作成するなど、さまざまにご努力をいただいていることはわかります。しかし、DVの相談窓口の周知度60%を達成するには、相当思い切った取組が必要ですが、この点に関しては後ほど提案いたします。

 また、被害者の支援は大変重要ですが、同時に、問題の根本的解決のためには、DVを未然に防ぐ、加害者にも被害者にもならないための「防止教育」も重要です。全国的にも中高生を対象にDV防止教育を実施する都道府県も増えてきています。養護教諭や生徒指導担当教諭だけでなく、中高生に直接「防止教育」を実施していただくよう、要望いたします。

次に性犯罪被害者の支援についてです。

昨年12月定例会において高橋政成議員が代表質問で指摘されましたように、政府は、第二次犯罪被害者等基本計画の中で、「ワンストップ支援センター」について、各都道府県で、少なくとも1カ所設置することを目指すとしています。

私自身も、1昨年9月定例会で一般質問し、台湾のワンストップ支援センターの視察に基づいて、福岡県にも同様のセンターを開設することを求めました。また、台湾では、「113番」という覚えやすい番号のホットラインがあり、24時間365日無料で相談できる、ということを紹介しました。

このたび来年度予算に、新規事業として、「性犯罪被害者に対するワンストップ支援推進事業費」2千万円余が盛り込まれたことは、高く評価したいと思います。

資料に示しましたように、北海道など、全国で6カ所にワンストップ支援センターの先行事例がありますが、相談件数にはバラつきがあります。東京や大阪など24時間オープンしているところでは相談が多く、24時間オープンでないところと一桁違っています。

そこで、お尋ねします。福岡県の相談窓口は24時間オープンではなく、性犯罪の相談件数は、100件前後と少ない、と言わざるをえません。センターの新設によって、件数は増加すると見込んでおられるのでしょうか?

現在、「福岡犯罪被害者総合サポートセンター」で性犯罪の相談を受けていますが、相談時間は月曜日から金曜日の10時から16時までとしております。

新たに設置する性犯罪被害者支援センター(仮称)では、専用の相談電話を設置し、年末年始は除きますが、土曜、日曜、祝日を含め、毎日9時から24時まで相談できる体制をとる予定でございます。

さらに、医療機関などと連携した総合的な支援体制を構築するとともに、医療費の公費負担の導入など、支援内容を充実させることによりまして、相談件数は増加するものと考えています。

医療機関との連携を進めることはとても重要だと思います。新聞報道によれば、神奈川では、県内の65施設が「協力病院」になっているということです。福岡県でも、できるだけ多くの病院との提携を要望します。

また、相談の受付時間が9時から24時ということですが、実際に被害が多いのは、「深夜から未明にかけて」と聞きます。性感染症や妊娠のおそれもあります。緊急避妊が有効なのは72時間以内です。とにかく、一刻も早く病院へ行く必要があり、「24時間相談できる体制がとられない」というのは、大きな問題です。

最後に、性暴力とDV被害者のための相談窓口の問題点を指摘し、提言させていただきます。

もし皆さんの娘、妻、妹など、大切な人が被害にあった、襲われたとしたら、皆さん、どこに相談したらいいか思い浮かびますでしょうか? どこに、いつ、どうやって相談すればよいかわからないのではないでしょうか?

現在、男女共同参画課が所管する「配偶者暴力相談支援センター」、警察所管の「ミズ・リリーフ・ライン」が設置されており、それに、この度設置されます生活安全課所管の「性犯罪被害者支援センター(仮称)」が加わるわけですが、これでは県民にわかりにくい。

なぜなら、それぞれの部局で、さまざまな電話番号があり、さまざまな開設時間、そしてさまざまな案内カードやチラシ、ポスターが作られているからです。また、現状では、夜中の24時から朝の8時30分という深夜から未明にかけて、事件が起こりやすいと言われている時間帯がカバーされていません。

そこで、いつでも、すぐに電話できるように、3部局協働によるワンストップ化を提案させていただきます。たとえば、0120-797-797(なくな、なくな)のような、覚えやすくわかりやすい統一番号にし、24時間、365日カバーし、携帯からもかけられるフリーダイヤルにする。3部局のどこで電話を受けても統一的な対応ができるように、統一マニュアルを作成し、統一の受付票を備え、専門知識と経験を有する女性相談員が常駐する。

犯罪者の多くは、被害者が「どうせ訴えないだろう」とタカをくくっていると言われています。相談電話番号を大々的に広報宣伝することで、より多くの被害者が救済されるだけでなく、抑止効果も期待できます。

そこで、山下課長にお尋ねします。このように、県民からみて、相談窓口が「ワンストップ」になっているかが重要であり、それぞれバラバラではなく、統一した電話番号をもうけるべきと考えますが、そのことについてご所見を伺います。

今回、性犯罪に遭われ、警察への申告をためらうような方が相談できるように、「性犯罪被害者支援センター(仮称)」を設置することとしております。いただいた相談には、支援センターが責任をもって対応し、医療機関への付き添いやカウンセリングなど、支援センターが中心となって一元的な支援を行ってまいります。その中で、他の機関の支援が必要なものについては、支援センターが責任をもって、つないでまいります。

このような運用の実態を踏まえまして、改善すべき点があれば、必要な見直しを行ってまいる考えでございます。

「一元的な支援、支援センターが責任をもってつなぐ」というワンストップ「支援」の方針を明確に述べていただきました。支援をワンストップための「統一マニュアル」「統一受付票」の作成をお願いします。

また、ワンストップ「支援」だけでは、まだ部分的。相談窓口も「ワンストップ」にしなければなりまません。山下課長からは、「改善すべき点があれば、必要な見直しを行ってまいる」との心強いお答えもいただきましたので、その言葉を信じたいと思います。

では、最後に、長谷川部長にお伺いします。3月11日の一般質問で、板橋聡議員が「このワンストップ支援推進事業」について、縦割り行政を打破する施策として高く評価しておられました。縦割り行政を打破し、ひとつのホットラインに統合すべきと考えますが、この点について、またセンター新設に向けてのお考えや決意をお聞かせください。

性犯罪は、魂の犯罪とも言われ、被害者の心身に深い傷跡を残す、極めて卑劣な犯罪であります。福岡県の性犯罪の認知件数は、全国的にも高い水準で推移しています。また、警察に申告されていない場合も多数あると言われています。

こうした性犯罪被害者の方の支援に一日も早く対処するため、支援体制の構築について、これまで、鋭意検討を進めてきたところです。今回、性犯罪被害者の支援を一元的に行うための性犯罪被害者支援センター(仮称)を設置するための予算をお願いしています。この支援センターの機能を充分活かすためには、運用面が極めて大事であり、性犯罪の被害者支援に当たっては、支援センターが責任をもって一元的に対応していくことが重要です。今後の支援センターの運用実態を踏まえ、関係者の意見も聞きながら、改善すべきところは改善し、被害者の方にとってよりよいものにしてまいる考えであります。