2016年 6月10日:代表質問

福岡県議会6月定例会

皆さま、こんにちは。会派の名前変更後はじめて、代表質問の機会をいただきました民進党・県政クラブ県議団の堤かなめでございます。

質問に入ります前に、今回の熊本地震でお亡くなりになられた方々に衷心よりお悔やみ申し上げますと共に、被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。



◎県政推進の基本姿勢について

1.本県の地域防災のあり方

では、はじめに、本県の地域防災のあり方についてお聞きします。

今回の熊本地震では、震度7以上の大きな地震が2回起こり、その後、強い揺れは阿蘇地方や大分県側などに広がりました。また、これまで、震度1以上の地震が1,700回を超えるという、過去に例がない、異例づくしの推移をたどっており、今なお予断を許さない状況にあります。

この間、本県は、被災地へ、健康管理支援チーム、緊急消防援助隊、DMAT(災害派遣医療チーム)、警察広域緊急援助隊などを派遣すると共に、毛布、簡易トイレなどの支援物資の提供、被災者の県営住宅への入居支援などを行ってきました。本県の迅速な対応と、その後も継続的な支援にあたられている本県職員に敬意と感謝を表します。



我が会派としても、直ちに「熊本地震緊急災害対策本部」を立ち上げ、4月19日には知事に対して、今回の熊本地震に対する緊急支援として、次の3点の要請を行いました。

1点目に、これまでの被災地への支援者派遣と支援物資の供給を継続・強化すると共に、被災地自治体等との連携を密にし、支援物資が避難所や避難者に確実に届くよう手立てを講じ、被災地の生活支援を行うこと。

2点目に、避難者が約10万人に及び、被災者の避難が今後も長期化する恐れがあることから、九州各県と連携して、入院患者及び要介護者の受け入れを積極的に行なうこと。

3点目に、さらに地震活動が広がる恐れがあることから、今後も地震情報の収集と県民への情報提供に努め、県民の被害を最小限に食い止めること。



そこでまず、我が会派が要請したこれら3点について、本県はどのような対応をとってきたのかお聞きします。その上で、これらの緊急支援を通して、どのような課題が明らかになったのかお聞きします。



【回答】

○被災地への支援者派遣及び支援物資の供給について

・本県では、救助救急活動に当たるため、地震発生直後の4月14日から緊急消防援助隊を、翌15日から災害派遣医療チーム(DMAT)を派遣した。

・本県職員についても、17日から、保健師等を派遣し、避難所における健康管理支援に当たらせるとともに、被災建築物の危険度判定に従事する建築職員を派遣した。

・また、九州・山口9県災害時応援協定によって支援先となった益城町と菊陽町へ、避難所運営やり災証明発行等に従事する職員を派遣している。

・さらに6月からは、熊本県及び益城町へ、道路、橋梁、河川の復旧のために土木職員も派遣している。

・これまでの県職員の派遣については、6月10日現在、延べ2,899人となっている。

・支援物資については、熊本県の要請を受け、被災直後の15日に消毒財、16日には愛護動物用のエサやケージ、17日には、缶入りソフトパン、毛布、簡易トイレを提供した。

・初期の支援以降は、熊本県はもとより、熊本県内の市町村のニーズを把握した上で、水や食糧、衛生用品などの提供を行っている。

・これらの支援を通し、地震発生直後の混乱の中で、いかに「現地の被災状況の支援ニーズ」を迅速かつ的確に把握することができるかが、重要であると考えている。

・このため、まず応援協定の事務局である大分県に加えて、応援県の職員を被災県に派遣し、被災県と一体となったチームを構成し、より迅速かつ円滑な支援が行えるよう、初動体制の強化について関係各県と協議していく。

○熊本地震被災地の入院患者及び要介護者の受入れについて

・入院患者の受入れについては、4月16日からドクターヘリ等で患者を搬送しており、県内8医療機関に対し、32人の患者の搬送が行われている。また、熊本県透析医からの要請により、久留米大学病院において10人の透析患者の受入れを行った。

・さらに、倒壊の恐れのある精神科病院の入院患者29人を県内10病院で受け入れるなど、迅速な受入支援を行ってきたところである。

・要介護者の受入れについては、4月17日に、県から福岡県老人福祉施設協議会、福岡県介護老人保健施設協会等の関係団体に対して、熊本県の要介護者を受け入れるように要請していた。

・6月3日現在、家族や介護支援専門員が直接施設に連絡するなどして、76人の要介護者等を受け入れるように要請していた。

・被災地の医療機関や老人福祉施設等において、入院患者や要介護者の転出先の確保が必要な場合に、被災地側がニーズを把握し取りまとめ、支援者側との調整をどのように進めるのかという課題がある。また、被災地側がニーズを把握できないときに、支援側がいかにしてニーズを把握するのかという課題もある。その両面から、被災地関係者からの情報を収集しながら、検証していきたいと考えている。

○平成28年熊本地震の地震情報の収集と県民への情報提供について

・県では、14日の地震発生後、県内の震度情報や市町村の避難所開設などについての情報を速やかに収集し、これらの情報をマスコミに提供するとともに、県民に対し、防災メール・まもるくんや県公式ツイッターを通じて、迅速に情報提供を行ってきたところである。

・今後も、福岡県だより、テレビの広報番組など各種広報媒体を活用して、防災メール・まもるくんの登録者を増やしていくことによって、県民に対する情報提供を迅速かつ確実に行ってまいる。



次に、本県の防災計画の見直しについてです。

本県には、すでに、基本となる「福岡県地域防災計画」が本年3月に改定され、個別計画である「福岡県備蓄基本計画」が2014年3月に策定されています。しかしながら、今回の震災を通して、連続する震度7以上の地震を想定していなかったこと、車中泊対策、避難所への効率的な物資輸送、自助・公助による備蓄、自主防災組織やボランティアの共助のあり方、公共施設の耐震化の問題など、次々と新たな課題が明らかになってきました。

そこで、今回の震災で得られた教訓を無駄にすることなく、地域防災の更なる強化に生かすには、本県の地域防災計画と備蓄基本計画の見直しに早急に着手すべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。



【回答】

○県地域防災計画及び県備蓄基本計画の見直しについて

・今回の地震の支援を行ってきた中で、例えば、

① 避難所までの搬送方法を確保しないまま、プッシュ型による支援物資の提供を行ったため、集積拠点では十分な量を確保できたものの、避難所まで届かないケースやニーズに合ったものが届かないケースが見受けられた

② 震度7の地震が連続して発生したため、指定避難所の安全性が確保されず、避難者の把握に手間取ったことから、的確な支援物資の提供ができなかった

などの課題があった。

・県では、今回の地震における課題と対策について、支援・受援の両面から検討するため、庁内関係部局で構成する「平成28年熊本地震検討プロジェクトチーム」を設置し、6月2日に第1回会議を開催した。

・県地域防災計画については、この検討プロジェクトチームや国が6月6日に設置した「熊本地震に係る初動対応検証チーム」の検討結果を踏まえ、見直しを行ってまいる。

・なお、震度7の地震が連続して発生したことによる被害想定の考え方などについては、国や専門家等の検証も踏まえる必要があることから、その検証結果を待って、見直しを行ってまいりたいと考えている。

・県備蓄基本計画については、検討プロジェクトチームにおいて、備蓄物資の課題や対策の整理を行い、見直しが必要な場合は速やかに対応してまいる。

・また、この計画は、被害想定に基づき県及び市町村の備蓄目標量を定めていることから、被害想定の見直しがなされた場合は、必要な見直しを行ってまいる。



                         

2.災害時におけるペットの救護対策

次に、災害時におけるペットの救護対策についてお聞きします。

東日本大震災では、東北3県で津波等により3,000匹を超える飼い犬が命を失い、その後、飼い主に「ペットロス症候群」が相次ぐなど、災害によるペットの死は精神医療の分野でも大きな課題とされるようになりました。

今回の熊本地震において、本県は、ペットの救護対策として、九州・山口9県災害時愛護動物救護応援協定に基づき、ペットフードやケージなどの物資の提供を行ったり、行政職の獣医師2名を派遣するなどしました。また、本県の獣医師会は、全国に先駆けて結成した「福岡VMAT」を被災地に派遣し、ペットの救護活動や訪問治療を行いました。このような活動を高く評価すると同時に、ペットの救護対策についても、新たな課題が明らかとなってきました。

そこで、災害時におけるペットの救護対策について、知事に2点お聞きします。



1点目は、本県独自の「災害時におけるペットの救護対策マニュアル」の策定についてです。

東日本大震災を教訓とし、環境省は、2013年8月、「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を策定し、各自治体に配布しました。その後3年近くが経とうとしていますが、本県では、「福岡県地域防災計画」は策定済みであるものの、具体的な行動指針となる本県独自の「マニュアル」は、未だ策定されていません。

そこで、まず、本県は、いつまでに災害時におけるペットの救護対策のための「マニュアル」を策定するのかお聞きします。

また、ペットを飼われている方の多くは、「ペットは家族の一員」と考えておられますが、今回の熊本地震でも、ペット連れのため避難所に入ることを断られたり、避難者が寝泊まりする場所にペットを同伴できないため、ペットと共に車中泊を続けられた方も多かったと聞いています。

そこで、わが会派は、ペットと同じ居住場所で避難生活を送ることができる避難所と、動物アレルギーの方などのためのペット不可の避難所に分けて設置する計画を、あらかじめ「マニュアル」に盛り込んでおくべきではないかと考えますが、知事の考えをお聞きします。



2点目は、「九州災害時動物救援センター」の運営支援についてです。

今月5日、全国初の都道府県の枠を超え災害時に動物を保護する施設である「九州災害時動物救援センター」が、大分県九重町(ここのえまち)に開設されました。なお、センターの設置・管理は一般社団法人「九州動物福祉協会」が行い、「九州地区獣医師会連合会」から派遣される獣医師やボランティアが常駐します。

災害時には、九州全県と山口県から、飼い主とはぐれたペットを保護したり、予防接種などを除き基本無料でペットを預かります。

 平常時は、餌やケージ、ワクチンなどの備蓄、ボランティアの育成など行うほか、引退した警察犬、盲導犬、救助犬、麻薬犬などが老後を過ごす施設として活用されます。

わが会派は、センター開所3日前の6月2日に視察を行い、その環境の良さに驚きました。センターは、キャンプ場として使われていた、緑豊かな森林の中にある広々とした敷地に作られており、周囲に民家もないため、犬猫の鳴き声や匂いを気にする必要がありません。そして、元キャンプ場のバンガローなどの施設が、そのまま活用されて管理棟や犬舎などに改築されており、施設として申し分ないものでした。運営費については、「九州地区獣医師会連合会」や獣医師からの寄付金で賄われるとのことです。

そこで、センターが果たす役割の重要性を鑑み、センターに対して何らかの支援を行うべきと考えますが、小川知事から九州地方知事会に対して支援要請を行う考えはあるのか、お示し下さい。 



【回答】

○「災害時におけるペットの救護対策マニュアル」の策定について

・本県では、災害時のペット救護に当たっての、県、市町村、動物関係団体等の役割や連携などについて示した「マニュアル」を、本年度中に作成することとしている。

・熊本地震では、ペットの鳴き声やにおい等による避難所でのトラブルを避けるため、ペットを連れた被災者が避難所に入れなかった事例が多数あった。このことを踏まえ、マニュアルの策定にあたっては、ペットの同行避難の際に、避難所においてペット同伴の方とそれ以外の方の居住場所を分けるなど、その対応方法についても示してまいる考えである。

○「九州災害時動物救援センター」の運営支援について

・今回の地震発生に伴い、同センターが「熊本地震ペット救援センター」として、当初計画より前倒しして、6月5日から被災動物の受入れを開始された。本県では、被災地支援の一環として、同センターに対し、獣医師職員2名を、交代で1か月間派遣している。また、5月25日に開催された九州地方知事会において、私から、各県の獣医師職員や民間の獣医師の派遣について呼び掛けをした。

・その際、どういう課題がセンターで出てくるのか、どんな支援が必要となるか、国に対してどういう要望を行うのかといった点を検討し、必要に応じて九州地方知事会において議論していただくよう、発言したところである。

・このため、今後、本県において同センターの運営の課題、支援の必要性等について検討を進めてまいる。



3.国の補助事業における都道府県への交付額

国の補助事業における都道府県への交付額についてお聞きします。

我が会派が保育所の待機児童問題について調査する中、保育施設の整備のための厚生労働省の交付金の支給基準において、本県が最も低いDランクに位置付けられていることが分かりました。尚、本県の類似県である神奈川県や静岡県などは、Bランクに位置付けられています。

この事業では、保育所の創設・増築などを行う際に支給される交付金が、都道府県によって4段階にランク付けされています。したがって、例えば定員101名以上から130名までの保育所を新しく建設する場合、Aランクに位置付けられている青森県や東京都など1都7県には、工事費として1億3,770万円を限度に交付されますが、Dランクに位置付けられている本県や大分県・徳島県・愛媛県の4県には、1億1,910万円までしか交付されず、交付額に1,860万円もの差が生じることになります。

そこで、国の補助事業における都道府県への交付額について3点、知事にお聞きします。

 1点目に、都道府県のランク付けについてです。

九州各県をみると、熊本県・鹿児島県がBランクに、佐賀県・長崎県・宮崎県がCランクに、そして大分県と本県がDランクに位置付けられています。本県における建築資材の価格や人件費の水準等から考えると、本県が最下位のDランクに位置付けられていることは、不当であると言わざるを得ず、そのことによって、県内の保育事業者が多大な不利益を受けてきたこと、本県における保育所整備に多大な影響を与えてきたことは、到底納得出来るものではありません。 

そこでまず、本県は、いつから交付額が最も少ないDランクに位置付けられているのかお聞きします。

また、そもそも都道府県のランク付けは、どのような理由、どのような根拠に基づいて行われているのかお聞きすると同時に、本県がなぜ熊本県・鹿児島県・佐賀県・長崎県・宮崎県よりも低くランク付けされているのか、知事の考えをお聞きします。

2点目に、保育所等施設整備事業の交付額の是正について、本県として国へ要請したことはあるのか、もしないとすれば、本県のランク付けを上げるよう、ただちに国へ要請すべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。

3点目に、この他にも、国庫補助負担金の交付基準額が都道府県別・地域別にランク付けされている事業はあるのか調査し、然るべき時期に公表すべきと考えますが、知事の所見を伺います。



【回答】

○保育所等施設整備のための交付金の支給基準におけるランク付けについて

・社会福祉施設整備にかかる整備基準の地域区分は、昭和53年に制定され、それ以降、本県はD地域に区分されている。

・国は、施設整備にかかる人件費や資材費、積雪寒冷等の地域的要因を総合的に勘案し、地域区分を設定しているとしているが、都道府県別の公共工事労務単価や保育所の平米単価の状況をみても、本県が最も低いDランクであることは納得しがたい。

○交付額の是正に係る国への要請について

・これまで、県から国への要請を行ったことはない。しかし、このランク付けには、納得しがたいことから、交付基準設定の考え方の説明を求めるとともに、合理的な根拠に基づく交付基準となるよう、見直しを強く国に要請してまいる。

○国庫補助負担金の交付基準額の地域差について

・本県が関与する国庫補助負担金は、1,000件程度ありますが、その中で地域別に交付基準が設けられたものについては、国家公務員の地域手当等をもとにした義務教育費国庫負担金、各市町村の消費水準等をもとにした生活保護費国庫負担金などがあり、その交付基準は、基本的には、政令、交付要綱などにより公表されております。

・今後、これらの交付基準を再点検し、保育所等整備交付金のように、交付基準に疑義があるものについては、改めて国に基準設定の考え方を確認し、問題があった場合には、関係省庁への提言・要望をはじめとした機会を通じ、制度改正など求めてまいる。



4.本県の行政改革のあり方

本県の行政改革のあり方についてお聞きします。

去る5月23日、知事は、次期行政改革大綱を策定するにあたり、行政改革審議会に諮問を行いました。諮問事項は、①県民のニーズに叶った行政サービスの提供とNPOなど多様な主体との協働の推進、②効果的・効率的な業務の推進、③ワークライフバランスの推進と人づくり・士気の高揚、④公共施設マネジメントなどによる歳入歳出の改革の4項目となっています。

そこで、本県の行政改革のあり方について、2点お聞きします。



1点目に、本県における職員数の維持についてです。

これまで本県は、5次にわたる行政改革を行ってきました。その結果、本県の知事部局の職員数は、1995年度の1万0,437人から2015年度には7,585人と、この20年で2,852人、実に27.3%もの削減率となっています。

我が会派は、本県の発展には行政サービスの維持・向上が不可欠であり、県民ニーズに即応した施策や今後の社会変化を先取りした施策の立案や実行のためには相応の職員が必要であると考えており、これ以上の職員削減は、乾いた雑巾を絞るようなもので到底無理である、と知事に質してきました。

また、今回の熊本地震でも、本県は、被災地への救援物資の提供や県職員の派遣、被災児童の県内の学校への受け入れなどにおいて重要な役割を担い、災害時における行政の責任と使命の大きさ、「自助・共助が機能するのは良質な公助が前提であること」が再認識されたところです。

そこで、次期行政改革大綱の策定にあたり、これまで我が会派が何度も質してきたように、職員削減ありきとする行政改革とすべきではないと考えますが、知事の見解をお聞きします。



2点目に、教員削減による公立学校の現場への影響と課題についてお聞きします。

本県で次に削減率が高いのは、教育委員会の教職員で、1995年度には3万5,846人だったものが、2015年度には3万0,790人と、この20年で5,056人、14.1%もの教職員が削減されました。

このような中、本県の小・中学校では、教員定数に満たない状態が生じ、学級運営や授業に支障がきたしている学校も出ていると聞いています。また、正規雇用の教員で埋められない定数の不足分を補うため、非正規雇用の講師の奪い合いが起きており、講師不足が深刻化しているとも聞いています。

そこで、まず、本県の小学校において、正規雇用の教員を講師で補充できないケースが何件あったのか、教育長にお聞きします。

あわせて、学級全体のうち、非正規雇用の講師が担任をしている学級はどのくらいあるのかお聞きします。

本来、講師は、産前・産後休暇、休職等により補充が必要になった時の一時的な任用であるはずですが、本県において講師の任用が半ば常態化しています。実際に、本県の公立小中学校における定数欠員補充のための常勤講師の数は、2010年度には2,086人でしたが、2015年度には2,740人と、この5年間で654人増加しています。

このような講師の増加の原因は、本県の正規雇用の教員の不足にあり、我が会派は昨年9月議会において、本県における公立小中学校の教員定数に占める正規教員の割合が87.6%と、沖縄県に次いでその割合が低く、全国ワースト2位であることを指摘し、正規教員の計画的増員が必要であると質しました。教育長からは「今後も引き続き、段階的に採用数の増加を図り、正規教員の確保及び配置に努めてまいる」との答弁をいただきました。

そこで、わが会派は、本県の教育力の向上のため、全国でも最低レベルの本県の正規雇用の教員の比率を早期に高めるべきと考えますが、今後どのように取り組むのかについて、改めて教育長に考えをお聞きします。



【回答】

○次期行政改革大綱について

・先月23日に行政改革審議会を立ち上げ、4項目について、諮問を行った。

・「効果的・効率的な業務の推進」のためには、組織・人員体制の不断の見直しが重要と考えている。人員体制の見直しに当たっては、事務事業の見直し、事務の効率化及びアウトソーシングにより業務自体の削減を進め、県として重点的に取り組む分野には職員を集中的に配置するなど、メリハリのある取組みを進めていく必要がある。

・こうした点を踏まえ、また、審議会の意見も伺いながら、次期大綱の策定を進めていく。

○本県の公立小中学校の講師が補充できない状況について

・本年度の学級編成基準日となる4月11日現在で講師が補充できてない状況は、小学校59校で81人、中学校10校で12人となっており、6月6日現在では、小学校38校で42人、中学校3校で3人となっている。

○小学校において講師が担任している学級の状況について

・本年5月1日現在で、929学級となっている。これは、県内公立小学校における学級数の14.7%となる。

・児童生徒の学力向上など、教育現場において、様々な教育課題に対応していくためには、今後とも正規教員の確保が重要であると考えている。

○小中学校の正規教員率を高めるための取組みについて

・教員採用については、退職者数や再任用者数の推移、児童生徒数・特別支援学級を含む学級数の増減、国の教員定数の動向を総合的に考慮しながら、毎年度の計画を策定している。

・来年度の採用計画は、退職者数を上回る採用計画を立てており、5年前の平成24年度に比べると、採用者数を約280人増加している。

・今後なるべく早い時期に、正規教員の割合が全国下位である状況を改善し、本県の子どもたちに、より適切な教育環境が整うよう、正規教員の計画的採用に努めてまいる。



5.筑豊地域の振興に資する幹線道路の整備

筑豊地域の振興に資する幹線道路の整備についてお聞きします。

 北九州・筑豊・県南を結ぶ国道200号は、県内の産業振興をはかる上で必要不可欠な道路ですが、その一部である冷水道路が5月15日本来の道路管理者である福岡県へ移管し、同日から無料開放されました。

また、筑豊地区の振興に大きな役割を果たしている国道201号のバイパスである八木山バイパスは、2014年10月から無料化されています。しかし、同バイパスはそれまで一日約1万台だった通行量が約2万5千台に増加し、交通渋滞の慢性化で交通事故件数は年間10件程度だったものが、2015年度には34件も発生しています。原因は、八木山バイパス区間のみが対面通行のためです。

同様にトンネル部分のみが対面通行の冷水道路も、今後、通行量の大幅増加により、慢性的な交通渋滞と事故の多発が考えられますが、この際、冷水トンネルの複線化と、八木山バイパスの複線化に早急に取り組むべきと思いますが知事の所見をお尋ねします。



【回答】

○筑豊地域の振興に資する幹線道路の整備について

・筑豊地域の生活や経済を支えるとともに、観光振興や地域間の連携を強化するためには、国道200号や国道201号などの幹線道路の整備は重要である。

・国道200号の冷水トンネルについては、先月15日の無料化後、1日あたりの交通量は約1万6千台で、無料化前の約2倍となっているが、これまでのところ、交通事故や目立った渋滞は確認されてない。

・冷水トンネルの複線化については、無料化後1か月も経過していないことから、交通事故や目立った渋滞といった今後の交通状況の把握に努めてまいりたいと考えている。

・また、国道201号の八木山バイパスについては、平成26年10月の無料化後は、国土交通省が管理している。現在の交通量は1日あたり約2万5千台で、無料化前の約2倍となっており、交通事故が増えていることも認識している。

・国道201号を管理している国土交通省は、「現在、飯塚庄内田川バイパス等の4車線化の整備を重点的に進めており、八木山バイバスの

                  

◎福祉労働問題について

1.待機児童問題について

2014年に公表された経済協力開発機構の調査によれば、我が国の保育や幼児教育への公的支出は、国内総生産の0.4%、36か国中29位と、先進諸国の中で極めて低い水準にあります。一方、出生率が日本より高いフランス、イギリス、ニュージーランドや北欧諸国では、この分野への公的支出が1%を超え、日本の2倍以上となっています。

すなわち、就学前教育の充実は、少子化対策としても重要でありながら、日本では公的支出は低いままにとどまっていることになります。

そこで、待機児童問題について6点、知事にお聞きします。

本年2月15日、保育園の申し込みではねられた母親が「保育園落ちた」と題したブログを匿名で投稿し、全国的に大きな反響を呼びました。

本県でも、主に都市圏において、この待機児童問題は深刻です。本県の待機児童数は、本年3月28日に厚生労働省が公表した、2015年10月1日現在の保育所入所待機児童数によれば、福岡市295人、北九州市139人、その他の自治体で1,287人、合計で1,721人となっています。

そこで、1点目に、「福岡県次世代育成行動計画」についてお聞きします。

待機児童問題の背景には、保育需要の増加があります。全国と同じく、本県においても女性の就労増などを背景に保育需要が増加しており、保育所に入所する子どもの数は、1995年度から20年にわたって、ほぼ一貫して増加し続けてきました。

 本県では、『次世代育成支援対策推進法』に基づき、2005年3月に、2014年度を計画期限とする「福岡県次世代育成支援行動計画」が策定されました。この「行動計画」では、2014年度の認可保育所への受け入れ児童数の目標を10万505人と設定していましたが、実際には2012年にこの目標人数を越え、この間、多少の増減はあるものの、一貫して待機児童が発生してきました。

そこで、そもそもこの「行動計画」を策定するにあたり、目標値自体が低すぎたのではないのか、目標値を立てるにあたり前提となる保育需要の算定に誤りがあったのではないかと考えますが、このことについて知事の見解をお聞かせ下さい。



2点目に、待機児童の地域偏在対策についてです。

先に述べましたように、県内の待機児童は、福岡・北九州両政令市で多く発生していますが、筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川町、福津市、志免町、須恵町といった福岡都市圏や久留米市など人口が増加している地域で顕著となっています。

そこで、両政令市以外の保育所に許認可権と監査権限を持つ本県は、福岡市周辺の市町村の保育所で待機児童の対応が遅れている理由をどのように把握しているのかをお聞きすると共に、待機児童解消に向けどのように取り組んでいくのかお聞きします。



3点目に、「隠れ待機児童」についてです。

保護者の多くは、自宅近くまたは通勤途中に都合の良い施設を希望します。そのため、自治体が「自宅から通える」と判断したとしても、その施設が通勤経路と逆方向にあったり、兄弟姉妹で別々の施設だったりして、やむを得ずその施設を断り、無認可の施設に子どもを預けるといったケースが多々あります。そして、このようなケースは、「待機児童」とは認定されず、「隠れ待機児童」になります。

厚労省が本年3月28日に公表した「隠れ待機児童数」によれば、その数は全国で5万9,383人に上ることが明らかとなっています。一方、全国の自治体が2015年4月現在で認定した「待機児童」は2万3,167人となっており、「隠れ待機児童」はその2.6倍に上ることになります。

そこで、知事にお聞きします。

本県の「隠れ待機児童」は何人なのかお聞きします。その上で、「隠れ待機児童」の解消に向け、関係自治体とどのような協議を行っているのかお尋ねします。



4点目に、保育士の待遇改善についてです。

2013年5月、厚労省が実施した保育士の就業に関する調査によれば、保育士の資格を持ちながら保育士として働いていない人は、全国で75万人を超えると推計されており、そのうち本県では3万4,498人となっています。また、この調査において、保育士の資格があるのに保育の仕事を希望しない理由を複数選んでもらったところ、最も多かったのが「賃金が希望と合わない」と回答した人で、47.5%と、半数近くを占めました。

したがって、待機児童の解消には、保育士の待遇改善が必要不可欠と考えます。現在、保育施設には、職員の人件費や施設の補修費などの運営費に対して国の基準による公費負担が行われています。この公費負担の増額を国に求めなければ問題の根本的な解決とならないと考えますが、このことについて、調査結果も踏まえ、知事の見解をお尋ねします。



5点目に、保育施設の建設についてです。

昔から日本では、「子に過ぎたる宝なし」と言われ、「子どもは泣くのが仕事」とされてきました。諸外国でも、子どもの声はハッピーノイズ、地域の活気や賑わいの象徴として歓迎されていると言います。

しかし、近年では、子どもの声がうるさいとして、保育所や小学校に苦情が届くなど、子どもを地域で育てるという雰囲気が失われつつあります。実際、千葉県内や東京都目黒区などにおいて、周辺の住民の反対によって保育所が開設できないといった事態が起きています。

そこで、このような地域社会における人のつながりの希薄化や子どもを育む力の低下について、知事はどのように考えられているのかお聞きします。

さらに、報道によれば、都市部では周辺道路が狭いなどの理由から、施設の建設反対の声が上がり、全国で11ヶ所の保育所建設が断念されたとのことです。

そこで、本県では、前述のような理由から、保育施設の建設を断念した事例があるのか知事にお聞きします。



6点目に、国の保育基準の緩和に伴う本県の対応についてお聞きします。

国は保育の担い手確保のため、去る2月28日、省令を改正し保育士配置の要件を緩和しました。

これに伴い、本県は今議会において、「福岡県児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例」の一部改正(案)を上程しています。改正されれば、朝夕などの児童が少なくなる時間帯において、保育士の資格を持たない者の配置や、幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭の免許状を有する者を保育士とみなすことなどが可能となります。

そこで、この緩和措置により、保育現場ではどの程度の人員確保ができるのかお聞きします。

一方、この条例改正に伴って、保育の質の維持を懸念する保護者の声もありますが、本県の保育所に今後どのような影響が出てくるのか、知事の考えをお聞きします。



・県計画における保育所利用者数の目標数値は、各市町村の計画の目標数値を集約し、設定したものである。市町村の目標数値は、市町村が、国のガイドラインに沿って、子育て家庭へのニーズ調査を実施し、人口推計等を用いて算出している。ニーズ調査は、その時点の保育サービスの利用状況だけでなく、潜在的利用ニーズの把握も行っており、調査時点での保育需要の算定としては、適切であったと考える。

・しかしながら、その後、福岡都市圏を中心にした人口増加等により、保育需要が急激に高まり、保育所整備による定員増を上回る状況となった。県では、市町村と連携しながら、保育所等の施設整備を進め、国も待機児童解消に向けた新たな支援策を打ち出したことから、保育所整備が加速化し、保育所の利用児童数が目標年度前に目標値数値を超えることになったものである。

・本県の待機児童の大多数が福岡都市圏の市町に集中している。

・待機児童数が増加している市町の中には、将来的にも安定した施設運営が確保できるのか先行きが見えないことや保育所等施設の整備に必要な保育士確保に不安があることなどの理由から、大規模な施設の整備に踏み込めないところもあり、待機児童の解消が進んでいない現状にある。

・県としては、こういった状況を踏まえ、市町の状況に応じて比較的少額の投資で早期に対応できる小規模保育事業を働きかけてまいる。また、今年度国においてスタートした企業主導型保育事業を市町と連携し、企業・団体に周知・広報することにより、活用促進を図ってまいる。

・併せて、保育士就職支援センターにおいても、再就職支援や保育士就職支援貸付制度などを活用し、保育士の確保を進めてまいる。

・国においては、平成28年3月に、「第一希望の保育園に入れないなど私的な理由」や「育児休業中」など、待機児童の定義とは異なる理由によって保育所を利用していない児童数を公表した。これによれば、本県におけるその数は、約2,500人である。

・現在、国において、市町村を対象とした待機理由などに関する現況調査や保護者に対するアンケート調査を行っており、その調査結果を踏まえ、市町村と対応策を協議してまいる。

・国の調査によると、保育士の月給は全職種の平均と比べ、約11万円低くなっている。県では、これまでも機会あるごとに、国に対して、保育士の処遇改善や人材確保のための方策を講じるよう求めてきた。

・国は、「子ども・子育て支援新制度」による給付費において、職員給与費の3%アップや国家公務員給与改定に準じた単価改定、保育士のキャリアに応じた賃金改善等の加算を行った。

・先日発表された一億総活躍プランにおいても、平成29年度から、保育士給与を月額6千円程度、技能・経験を積んだ保育士は月額4万円程度を引き上げることとされた。

・県としては、保育士の確保、待機児童の解消のため、今後とも、国に対し、保育士の処遇改善や必要な財源の確保を要望してまいる。

・このたびの改正は、保育士不足に対応するため、保育所で保育業務に常勤で1年以上従事した者などの保育補助者や幼稚園教諭等の活用など、保育士配置の特例を設け、保育の担い手の裾野を広げるものである。

・今の時点で、保育所で雇用する保育補助者や幼稚園教諭等の数を予測することは困難だが、今回の改正により、保育士の勤務環境の改善や受入れ児童の増加につながるものと考えている。

・保育補助者は保育士と同等の知識及び経験を有する者とし、保育補助者や幼稚園教諭等を活用する場合も、保育士数が3分の2以上とするなど、保育の質の確保を図ってまいる。





2.放課後児童クラブのあり方

放課後児童クラブについてお聞きします。

県内には現在、1,250ヶ所のクラブがあります。クラブの利用料は、市町村によって低いところで月2千円、高いところで月6千円となっています。

この利用料の支払いは、生活保護世帯にとっては、かなり重い負担となります。そのため、生活保護世帯のうち、生活の自立をめざし就労している世帯に対し、県内30ほどの市と町が利用料の減免を行っています。

また、このような利用料の減免を行っていない市町村においても、クラブの利用料を収入から控除できる制度があります。ところが、この控除制度について十分に周知されていないため、クラブの利用をあきらめている生活保護世帯があることが、わが会派の調査で分かりました。

そこで、生活保護世帯のクラブ利用料について、3点知事にお聞きします。



1点目に、生活保護世帯への周知についてです。

本県は、4月18日に「就労等に伴う子の託児費に関するその他の必要経費の認定について」の通知を発しました。通知には、クラブの利用料控除について、生活保護担当ケースワーカーに今一度周知徹底する旨が記されています。

この控除制度は、1991年に導入されてから、すでに25年が経過していますが、この制度が十分活用されていないのでは、との声も聞いています。

そこで、この制度の内容について、本県の福祉事務所でどの程度共有されているのか、また、生活保護世帯にはどの程度周知されているのか、お聞きします。



2点目に、県内のクラブの中で、就労している生活保護世帯のうち、クラブを利用している世帯は何世帯あるのか、そのうち、クラブ利用料の控除を受けていない生活保護世帯は何世帯あるのか調査すべきと考えますが、いかがでしょうか。



3点目に、この調査の結果、クラブを利用しているにもかかわらず利用料の控除を行っていない生活保護世帯に対し、福祉事務所は、利用料を返還すべきと考えますが、知事の見解をお聞きします。



次に、県内市町村の放課後児童クラブにおける待機児童問題について、知事にお聞きします。

県内の市町村の中には、保育所の待機児童がゼロであるものの、小学校の放課後児童クラブでは、待機児童が発生しているところがあると聞きます。

また、昨年度から小学6年生まで受け入れが可能となりました。

そこで、現在、県内において、待機児童が発生している市町村は何ヶ所あるのかお聞きすると共に、学年ごとの待機児童数をお答え下さい。

また、クラブの待機児童の解消に向け、県としてどのように取り組んでいくのかお聞きします。



 この項の最後に、放課後児童クラブへの学習機能の付与についてお聞きします。

放課後児童クラブは、共働き家庭など保護者が昼間家庭にいない小学生が、放課後に安心して過ごせる遊び、及び生活の場と位置付けられています。

我が会派は、このクラブの場を活用して、クラブを利用する子どもたちの学習支援と学習習慣の定着を図ることを目的とする、新たな放課後児童クラブのあり方、クラブへの学習機能の付与について知事と教育長に質してきました。

そこで、今年度から筑豊地区においてスタートした放課後児童クラブ学習支援事業について、現時点での市町村の取り組み状況はどうなっているのか、県として市町村にどのような働きかけを行っているのか、知事にお尋ねします。



【回答】

○生活保護世帯への放課後児童クラブの利用料控除制度の周知の状況について

・生活保護制度上、放課後児童クラブの利用料が、就労に伴う必要経費として控除の対象となることについては、ケースワーカーが所持している生活保護手帳にも7明記されており、福祉事務所において制度内容の共有はできているものと考えている。

・しかしながら、生活保護世帯では、就労の有無、子どもの年齢、家族構成が変化していくものであり、その状況に応じた説明が十分行き届いていないケースもあったのではないかと考えている。現に、この控除制度が活用されていない事例があるとの指摘もあっており、事実とすれば遺憾に思う。

・県では、控除の取扱いを適切に行うよう、本年4月に改めて通知を発出いたした。加えて、同月開催の福祉事務所の保護課長会議、5月開催の新任ケースワーカー研修会において、福祉事務所内で、制度内容について情報の共有を深めるよう、指導した。

・今後、ケースワーカーが窓口において、生活保護世帯に、放課後児童クラブの利用料等の控除について記載した「保護のしおり」をお渡ししながら、分かりやすく説明を行ってまいる。あわせて、放課後児童クラブの設置主体である市町村が作成するその「利用の手引き」などにおいて、この内容を記載するよう働きかけを行い、両サイドから制度内容の周知徹底を図ってまいる。

○放課後児童クラブの利用料控除制度の実態調査について

・放課後児童クラブの利用料控除は、生活保護世帯の自立を促す意味で有効な制度であり、その確実な活用を促していく必要があることから、県の福祉事務所はもとより、市の福祉事務所にも協力を求め、出来るだけ早期に調査を実施したいと考えている。

・調査の結果、当該控除が適用される世帯があった場合、生活保護制度の取扱いに基づき、原則として、申請月からその前々月分までを限度に、その利用料相当額を支給することとなる。

・いずれにしても、今後、就労に伴う必要経費の控除の取扱いについては、生活保護世帯の状況を十分に把握した上で、より丁寧にきめ細かく説明してまいる。

○放課後児童クラブの待機児童について

・子育て家庭における女性の就労拡大等により、クラブの利用児童数は、年々増加している。各市町村を調査した結果、本年5月1日現在、放課後児童クラブを設置している59市町村のうち、22市町において、定員の空きがなくクラブを利用できなかった児童、いわゆる待機児童が生じている状況である。また、学年ごとの待機児童数は、小学1年生が73人、2年生が52日、3年生が110人、4年生が150人、5年生が50人、6年生が14人となっている。

・県としては、このような状況を踏まえ、待機児童が発生している市町村に対し、クラブ整備の前倒しや、小学校の余裕教室を活用したクラブの設置など、地域の実情に応じた提供体制が構築されるよう助言するとともに、引き続き、整備に必要な助成を行い、待機児童解消に向けて取り組んでいく。

○筑豊地区放課後児童クラブ学習支援事業について

・この事業は、筑豊地区の放課後児童クラブを利用する児童の学習を支援し、学習習慣の定着を図ることにより、学力の向上を目指すものである。

・県では、平成27年度2月補正予算成立後、速やかに、関係市町村に対し、事業概要の説明を行った。さらに、5月には、担当職員が筑豊地区の全15市町村を訪問し、事業の趣旨、内容について、丁寧に説明しながら、事業実施への働きかけを行ったところである。

・その結果、4市町において、夏からの事業実施に向け、準備が進んでいるところである。また、6市町においては、クラブの子どもたちも参加できる学習支援事業を既に実施しており、これに加えて県の新たな支援事業を実施するかどうか検討している状況である。残る5町村は、学習ボランティアの確保など事業実施に向けた課題について、検討を行っているところである。

・県としては、今後とも、市町村からの相談に丁寧に対応し、できるだけ多くの市町村が放課後児童クラブ学習支援事業に取り組まれるよう、働きかけていく。

           

◎教育問題について

1.公立中学校・高校の部活動のあり方

 公立中学校・高校の部活動のあり方についてお聞きします。

我が会派は、部活動において発育や発達に応じたスポーツや文化活動を行うことは、心身の健全な発達を促進するだけでなく、集団や社会の構成員として大切な自主性や協調性を育てるという点でも、大きな意義をもっていると考えます。

 しかしながら、顧問を務める教員の多忙さ、休日返上の練習などの問題も指摘されています。一昨年に発表された経済協力開発機構の国際教員指導環境調査によれば、日本の中学教員の勤務時間は、調査に参加した34カ国・地域の中で最長で、なかでも部活指導に費やす時間は、平均の3倍以上でした。

本県は、2014年度に、公立学校の勤務実態について、中学校156校、高校94校において調査を実施し、教員の超過勤務の実態を初めて公式に明らかにしました。その結果、平日の超過勤務は、中学校で2時間27分、高校で2時間39分、そのうち部活動に1時間程従事していました。また、休日の超勤は、中学校で2時間49分、高校で2時間19分となり、そのほとんどが部活動の指導のためでした。この調査には、部活動の顧問をしていない教員も含まれており、実際には部活動の顧問はもっと長時間の超勤を強いられていることになります。

そこで、本県の公立中学校・高校の部活動のあり方について、4点お聞きします。



1点目は、部活動指導等による超過勤務についてです。

公立中学校・高校の教員は、教員の給与に関する特別措置法によって、職務と勤務態様の特殊性に基づき、超勤手当は支給されず、教職調整額が支給されています。この教職調整額は、給料月額の4%に相当する額とされており、教員一人あたり平均月1万4,000円程度、1日の勤務時間のわずか19分程度の割り増しに過ぎません。尚、土日の部活動には教員に4時間程度で3千円の特殊勤務手当てが支給されています。わが会派は、この教職調整額の支給が、教員にサービス残業を強いる口実に使われるという悪しき慣習になっていると考えます。

そこで、本来は超勤そのものを減らすべきですが、やむなく超勤をした場合は、その超勤に見合った額をきちんと支給できるよう制度を改善すべきと考えますが、教育長の見解をお聞きします。



2点目に、部活動の顧問のあり方についてです。

部活動は、学習指導要領において、学校教育の一環として位置付けられているものの教育課程には位置付けられていません。

部活動顧問のあり方が文部科学省でも議論される中、本年3月、九州の若手教員らが立ち上げた「部活動問題対策プロジェクト」が、部活動のあり方の改善を求める要望書を、インターネットで集めた約2万3,000人の署名を添えて、文部科学省に提出したという報道がなされています。

そこで、今日、学校ではどのように部活動の顧問が決められているのかお聞きするとともに、今後の顧問の負担軽減について、教育長の見解をお聞きします。



3点目に、部活動における専門的な指導についてです。

一昨年7月に、日本体育協会が公表した「学校運動部活動指導者の実態に関する調査」によると、運動部活動の指導者について、「担当教科が保健体育以外であり、なおかつ担当している部活動の競技経験もない」という教員が、中学校で45.9%、高校で40.9%と、4割以上を占めていることがわかりました。このような競技経験のない教員が、果たして生徒に対して専門的な指導が出来るのか極めて疑問です。

この点について、教育長の認識をお聞きします。



4点目に、「公立中・高等学校運動部活性化プロジェクト」についてです。

本県では、昨年度から各校に1名の外部指導者を派遣するプロジェクトがスタートしました。

そこで、昨年度1年間で、本県の公立中学校・高校のうち何校に外部指導者が派遣されたのか、教育長にお聞きします。

あわせて、外部指導者による部活動の指導は年15回分しか予算化されていませんが、年15回で十分な指導が可能と考えているのかお聞きします。

実際、この外部指導者の中には、毎日のように指導を行っている人がいると聞いていますが、そもそも人の好意に頼るような制度設計に無理があったのではないのか、教育長の見解をお聞きします。

また、本県の公立中学校・高校には、1校あたり平均で、野球部や陸上競技部など15程度の運動部があります。ところが、このプロジェクトにより派遣される外部指導者は1校あたり1名のみであり、焼け石に水で根本的な解決にならないと言わざるを得ません。

そこでまず、このプロジェクトで派遣される外部指導員を含め、その他にも外部指導者が、県内の県立高校において、監督やコーチなどとして指導にあたっていますが、このような外部指導者の人数、指導回数など、その現状について教育長にお聞きします。

その上で、県教育委員会として、県立高校における部活動の外部指導のあり方を再構築し、県立高校全体で、地元の専門性を有する方々をコーチや監督として契約し、全ての運動部に配置する制度を新たに構築すべきと考えますが、教育長の考えをお聞きします。

あわせて、この取り組みを県内市町村の中学校・高校にも促すべきと考えますが、教育長の見解をお聞きします。



【回答】

○部活動指導等による超過勤務について

・教育職員については、その職務と勤務態様の特殊性から、現行制度上、超過勤務手当制度は適用せず、これに替えて、教職調整額を支給することとされている。また、部活動にかかわる特殊勤務手当については、近年、国において増額されてきており、本県も国の見直しにあわせて手当額を改定している。

・一方、県教育委員会では、これまで超過勤務縮減のための取組みを進めており、部活動についても、今年3月に作成した超過勤務縮減に向けたハンドブックの中で、週1日以上の休養日を設定したり、複数の顧問を配置する取組みを示した。

・こうした取組みにより、教員の負担軽減や超過勤務の縮減に努めるとともに、国が行っている部活動指導のあり方についての検討に対しては、機会を捉えて、本県の実態等を説明してまいる。

○学校における部活動の顧問の決め方と顧問の負担軽減について

・部活動は、生徒の心身にわたる成長を図る上で、教育効果の高い活動であることから、学校教育の一環として位置付けられている。

・このため、部活動の顧問は公務分掌の一つとして、校長が、各部活動の活動状況や他の公務分掌、教員の個人的事情などを考慮して決めている。

・また、土日の試合引率など、勤務時間外に及ぶ指導については、できる限り顧問の過度な負担とならないよう、適切な休養日の設定や複数顧問制、さらには、外部指導者の活用等を行うことが大切であると認識している。

○部活動の専門的な指導について

・競技経験のある教員が、直接専門的な指導を行うことが望ましいことではあるが、現実にはすべての運動部活動に協議経験者を配置できない場合もある。

・そのため県教育委員会では、指導歴の浅い、もしくは、競技歴のない県域の中学・高校の運動部活動の顧問を対象に、専門的な指導力の向上を図る研修会を実施している。

・また、県中学校体育連盟や各競技団体等においても、競技別講習会等を実施し、指導者の資質向上を図っているところである。

○「中・高等学校運動部活動活性化プロジェクト」について

・まず、派遣校数についてであるが、平成27年度は、県域の公立中学校210校中177校、県立高校95校中69校に派遣している。

・次に、年間15回の派遣回数と制度設計の在り方についてである。この事業で派遣する外部指導者は、生徒に対する専門的な技術指導に加え、顧問に対して練習計画作成や技術指導の際のポイント等の助言なども行っている。このように、外部指導者と顧問が密接に連携を図りながら指導にあたることで、年間15回の指導でも一定の効果があると考えている。

・また、外部指導者の中には、「自らの経験を活かし、地域や子どもたちのスポーツ活動に貢献したい」との思いから、予算化していう以上の回数を無償で指導していただいている方が多数おられることも承知しており、そのような方々の支えがあって、運動部活動が充実しているものと考えている。

○県立高校における外部指導者の現状について

・平成27年度は、73校、149部活動において160人の外部指導者が指導を行っている。指導回数は、平均すると月1回程度が全体の8.8%、月2,3回が45.6%、週1回以上が45.6%となっている。

・新たな制度の構築については、現在、国において学校外の人材を活用した部活動の指導の在り方などを検討している。今後、国の動向を踏まえながら、本県としての対応を検討してまいりたいと考えている。また、市町村に対しましても、随時、情報提供してまいる。

                          

◎その他県政一般について

その他県政一般について、重要項目があるので質問します。

消費税率引き上げの延期により、財源として予定されていた消費税の増収分が見込めなくなったことで、地方財政にどのような影響があるのか、とりわけ本県の財政にどの程度の影響があるのかお聞きします。



【回答】

○消費税率引き上げ延期の影響について

・現行の消費税率8%のうち、地方消費税分は1.7%であり、税率10%に引き上げ後は0.5ポイント増の2.2%になる予定であった。この引き上げによる増収額は、地方全体では約1兆円、本県においては約290億円である。

・税率引き上げによる増収分は、社会保障の施策の充実とその安定化のための財源であると認識している。国において、施策をどう充実していくのか、増大する社会保障費にどう対応していくのかについて、十分議論し、国民にしっかり説明してもらう必要があると考える。併せて、地方財政に影響が出ないよう、国に対し、全国知事会等を通じ要請してまいる。