2021年 9月24日:新型コロナウィルス感染症対策
福岡県議会一般質問
新型コロナウィルス感染症で命を落とされた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、治療中の方、後遺症に苦しんでおられる方々にお見舞い申し上げます。また、医療の最前線で働いて下さっている皆様、多忙を極める対策本部の皆様、保健業務に従事しておられる皆様に深く感謝申し上げます。
現在、新規感染者の数は減少傾向にありますが、今年の冬にも、第6波の可能性を指摘する専門家もいます。減少期にある今こそ、きっちりと感染を抑え込み、再拡大を防がねばなりません。
今議会では、新型コロナウィルス感染症に関連し、ワクチン接種、事業者への補償、生活支援、検査の拡充、人権擁護などについて活発な質疑が行われました。
また、海外からのミュー株、ラムダ株などその性質すら十分解明されていない新たな変異株の流入を食い止めること、いわゆる水際対策の徹底など、政府が行うべき対策も多々ありますが、ここでは、感染者への早期対応と早期治療に絞って質問させていただきます[1]。
私事で恐縮ですが、私自身、この夏の感染爆発期に新型コロナウィルスに感染し、自宅待機を経て、入院いたしました。入院治療が遅れていたら、もっと重度の肺炎に陥っていたかもしれません。健康を取り戻してくださった関係者の皆様への感謝の気持ち、そして、このウィルスの恐ろしさを経験した者のひとりとして、感染を封じ込めたいという強い思いとともに、以下、質問させていただきます。
(問) 感染者への早期対応について
感染を拡大しないためには、医療機関への入院ないし宿泊療養施設への入所までに要する時間を、できる限り短縮することが重要。本県では、この時間が、保健所ごとに平均してどの程度かかっているのか把握し、保健所の体制強化についてより正確に検討する基礎資料とすべきではないか?
(答) 原則、翌日までに、疫学調査を行い、入院などの調整を行っている。新規養成者数をもとに、会計年度職員の任用や市町村からの保健師の応援により対応している。
(問) 家族感染について
デルタ株の流行で子どもが感染しやすくなっていることなどにより、家族感染が増え続けている。家族感染が全体の4割を占めている深刻な現状そして今後も増える可能性は?
(答) 家族感染の割合は、直近で41.1%と依然として高い。20歳未満の新規陽性者の割合を見ても、第4波(5月)は14.1%、9月は25.3%と高い状況。今後も家族感染に注意する必要がある。
(問) 自宅待機[2]」のリスクおよび入院・入所の勧奨について
自宅待機の間に急に容態が悪化した事例がどの程度あったのか、同居している幼い子ども、高齢者、障がいのある方、ペットなどが理由で自宅に留まることを選ぶ方にどう対応しているのか、また、特段の理由がないにもかかわらず自宅に留まることを希望する方にどのように宿泊療養施設への入所を促しているのか?
(答)第5波では、自宅療養中に呼吸困難などの症例により入院となった県所管分の事例は、9月20日までに75件。親子が陽性の場合、宿泊療養施設に置いて親子が宿泊できる広さの部屋を提供するなど、個々の事情に応じて柔軟に対応している。さらに、特段の理由がない方については、「宿泊療養アドバイスチーム」の看護師・保健師が、丁寧に説明し入所を促している。
(問) 床および宿泊療養施設の確保について
「治療が必要な感染者は入院、無症状や軽症の方は宿泊療養が基本である」という姿勢を堅持していただきたいが、今後十分な数の病床および宿泊療養施設を準備されるのか?
(答)県では、「治療が必要な感染者は入院、無症状や軽症の方は宿泊療養が基本」と考え、現時点で、病床は、重症者向け203床を含め1,480床、宿泊療養施設は県内に10ヶ所2,106床を確保し、さらなる増設に向けて、ホテル側と具体的に交渉を進めている。
(問)早期治療について
感染の再拡大に備えて、「抗体カクテル療法」を行うための十分な量の点滴薬を確保することはできるのか?また、出来うる限り、医師や看護師が24時間対応できる病院や宿泊療養施設で行ったほうが、より安全で効率的ではないか?
(答)9月22日時点で28の施設に配置。今後も引き続き、国に対して十分な量の薬剤の確保を求める。また、希望者が速かに医療機関で投与を受けられるよう、県医師会と協議している。
(問)人材確保について
スウェーデンでは、第1波の到来後すぐに、休職となった客室乗務員を短期間で看護業務に従事する人材に養成し、国を挙げて、次なる感染拡大にしっかりと備えたとのことである[3]。制度の違いからスウェーデンのように短期間で看護師や准看護師などを養成することはでないものの、どのように看護師や准看護師の確保するのか。
(答)ナースセンターでマッチングを行い、67施設に対し、39施設に428人が就職。9月22日現在、2千人の求職者がいる。今後も、ナースセンターにおいて看護師や准看護師の確保に努める。
*堤かなめからの要望
現在では、病院や宿泊療養施設で「抗体カクテル療法」などの早期の治療が受けられる体制が整ってきており、迅速な入院や入所の有用性・重要性はさらに増しています。
この夏の感染爆発の際は、全国の自宅待機者数が7月初旬から1か月で約11倍にまで急増しました。ご答弁いただきましたように、臨時の医療施設の設置も含め、最悪の事態への十分な備えを要望いたします。
むすびに、この間、温かいご指導・ご支援を賜りました、議員の皆様、執行部・県職員の皆様はじめ、全ての皆様に、心から感謝申し上げ、私の一般質問を終わります。有難うございました。
[1] 監修は、堤かなめの配偶者で、北里大学医学部公衆衛生学主任教授・医学博士の堤明純による。
[2] 2021年9月16日の民主県政クラブ県議団による代表質問と同様、入院または宿泊施設での療養を原則とするという立場から、「自宅療養」ではなく「自宅待機」と表現する。
[3]https://square.umin.ac.jp/~massie-tmd/miyagawa@sweden1_covid19.html
なお、宮川 絢子「スウェーデンの対新型コロナウイルス政策」https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/3743 によれば、「新型コロナウイルス感染対策に関しては、公衆衛生庁の専門家が指揮を取ることが感染症法で定められており、政治の介入は許されない」などスウェーデンの取り組みは興味深い。